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建築

2022年1月30日 (日)

白井晟一・・・孤立の城、荒野の礼拝堂、ロマン主義建築家の反逆

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』268回

私は、学生時代、白井晟一の建築《親和銀行本店》、白井晟一著『無窓』に出会い、その意味について考えてきた。
私は世界の建築を旅した。偉大な建築家とは、フェイディアス、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、アントニ・ガウディ、等である。偉大な建築家は、成果主義、競争主義の社会に反抗する古典主義、ロマン主義である。
白井晟一の建築は、モダニズムに対立するロマン主義建築である。経済至上効率優先の近代主義に対立するロマン主義である。成果主義、競争主義の現代社会に反抗するロマン主義。中世の礼拝堂のドーム、ノアの箱舟のような建築である。天への意志、孤独、理性の苦悩、理想と現実との戦い、絶望の荒野、崇高な者への尊敬、崇高な美、精神の孤立、哲学者の洞窟、荒野の礼拝堂、氷の海、断崖に建つ寺院、を表現していると私は思う。
ロマン主義藝術家とは、ウィリアム・ブレイク、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、ギュスターヴ・モロー、アンチリアリズムの藝術家である。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【魅力的な建築家】魅力的な建築の建築家はだれか。フェイディアス、アントニ・ガウディ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、黒川紀章、白井晟一、丹下健三、村野藤吾、吉田五十八、堀口捨巳、谷口吉郎、
安藤忠雄、隈研吾、菊竹清訓、ザヒ・ハディド、梵寿綱。
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建築家・白井晟一(1905~83)。京都で生まれ、独創的なスタイルの建築から「哲学の建築家」と評された1905年に京都に生まれた白井は、正規の建築教育を受けていないとされており、独学の建築家とも称されてきた。しかし、学んでいた京都高等工芸学校の図案科では近代建築のパイオニアである本野精吾が教鞭をとっており、その前任者も建築家・武田五一であった。
欧州留学時代の白井と、作家・林芙美子がパリで出会ったのは有名なエピソード。貴公子のような若き白井に恋する林、かたや社会主義思想に夢中で、ソビエト旅行を企てていた白井。「白井君」が登場する林の『パリ日記』。
《親和銀行本店》
長崎の《親和銀行本店》(現・十八親和銀行佐世保営業部)。商店街に建つ、ふたつの巨大な量塊、まるで隕石かノアの箱舟のようである。何気ない日常風景の中に、全く別の時間的・空間的な位相が差し込まれている。事実に圧倒される。
《親和銀行東京支店》
「親和銀行東京支店」、銀座の三原橋にあった建築は、ボリュームのある基壇と上部にまっすぐ伸びていく上部で構成されており、「ノアビル」などにも共通する意匠がみられる。銀行の店舗ながらも、内部は礼拝堂のような雰囲気で、都心の一角にありながらも内部は非常に静かだったと伝えられる。
秋田県湯沢市「稲住温泉」は、武者小路実篤も通った由緒ある旅館。白井晟一設計の「離れ」《嵐亭》《漣亭》《杉亭》は白井氏の設計を残しながら快適な滞在ができるようにリノベーションされている。3部屋どれもが個性的。
《滴々居》
伝説的な自邸《滴々居》(1951~67)の前の白井晟一、裸電球がぶら下がり、表札は荒壁に直書き。トイレはなく、途中まで屋根が未完で雨が滴り落ちるので「滴々」居―このミニマルの極みの生活から数々の壮大な建築案は生まれた。
《虚白庵》
晩年の白井は前の自邸《滴々居》とはうって変わり、重厚な《虚白庵》で昼夜逆転の生活を送った。内部は壮麗な闇の空間で、手探りで進む来訪者が思わずつまずくと、奥の書斎机の灯に浮かぶ白井晟一は、神秘的にふふっと笑う、勝負アリだった、という証言を聞いた。
《原爆堂計画から松濤美術館》
50年代の「原爆堂計画」から80年代の松濤美術館と芹沢銈介美術館まで、白井晟一は30年以上にわたり多くの美術館を計画しました。その中でも、1975年に構想された「大村道場計画」の美しさ。白井晟一が、自身のために設計した私設の展示施設である。
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白井晟一、作品の一部
白井の代表的建築である港区麻布台にある「ノアビル」。
未完の建築「原爆堂」1954年頃に、丸木位里・俊夫妻による《原爆の図》を展示するために計画。主室が水上に浮かび、地下を経由してギャラリーやホールにつながる独特の構造
70年代より白井は大規模建築を手がけるようになった。
白井を代表する建築
「親和銀行東京支店」東京・銀座の三原橋
「親和銀行本店」(現・十八親和銀行佐世保営業部)佐世保
「渋谷区立松濤美術館」1981
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■参考文献
「白井晟一 入門」渋谷区立松濤美術館 開館40周年記念「白井晟一 入門」
第1部 白井晟一クロニクル 会期:2021年10月23日~12月12日
第2部 Back to 1981 建物公開 会期:2022年1月4日~1月30日
「白井晟一 精神と空間」青幻社
大久保正雄「地中海紀行、旅する哲学者 美への旅」
アクロポリスの光と影 パルテノン神殿
https://t.co/nmDmRi4sGN
パルテノン神殿 彫刻家フェイディアス アクロポリスのコレー
アクロポリスのコレー 時を超えて蘇る少女
https://t.co/H9JyoTOReE
梵寿綱、生命の賛歌 輝き溢れる芸術建築
https://bit.ly/3A5Ko46
『隈研吾 はじまりの物語』青幻社2021
隈研吾展・・・迷宮建築への旅、雲の上のホテル
https://bit.ly/35STPGx
白井晟一・・・孤立の城、荒野の礼拝堂、ロマン主義建築家の反逆
https://bit.ly/3rZzIAY
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「天使か悪魔か 建築家 白井晟一」NHK
初回放送日: 2022年1月23日
孤高の建築家・白井晟一。独学で建築を身につけ、世界を席巻した丹下健三らのモダニズム建築を批判。都会にうがたれた黒い杭のようなビル、太古のモニュメントにも似た銀行社屋など、常識を覆すような作品ばかりを作った。権威主義を批判し哲人、詩人とも称された一方、自らが権威にもなっていった白井。その実像は、天使か、悪魔か。白井に憧れを抱く映画監督・紀里谷和明が迫る。
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2021年6月28日 (月)

隈研吾展・・・迷宮建築への旅、雲の上のホテル

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大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第246回

文明は興廃する。都市は滅亡し、建築は廃墟となり、詩人の言葉は残り、哲学者の観念の塔が残る。
私は14歳の時、パルテノン神殿の知性の美に出会った。アルハンブラ宮殿、クレタ島のクノッソス宮殿、ヴェネツィア、サンマルコ寺院、ハギアソフィア寺院へと旅した。パルテノン神殿の建築家フェイディアスは、何を志向するのか。建築家皇帝ハドリアヌスのパンテオンは何を志向するのか。アルハンブラ宮殿は、地上の楽園を目指すのか。クフ王のピラミッドは、王墓なのか。
超高層建築への疑いから迷宮的建築を志向した建築家は何を考えているのか。
パルテノン神殿には、ギリシア人の知性と誇りがある。
【魂のことば 孔雀のプライド】孔雀は、人前でその美しい尾羽根を隠す。これは、孔雀の矜持と呼ばれる。孔雀のような動物でもそうなのだから、わたしたちは人間として、一層の慎みと矜持を持つべきである。『善悪の彼岸』
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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隈研吾のキャリアの転回点となった梼原町、雲の上のホテル1994年、雲の上のレストラン、雲の上の図書館2018年。
建築は、モニュメント的建築と洞窟的建築とに分類される。「超高層のモニュメント的建築に対する懐疑から「孔」としての建築への関心が芽生え始める。」隈研吾。バーナード・チュミ「ピラミッド的迷宮」。マンフレッド・タフーリ「球と迷宮」の二項対立として建築史を観る。秩序を指向する建築的方法論が「球」を生み、無秩序や偶然を指向する方法論が「迷宮」を生むとタフーリは整理した。
隈研吾展「新しい公共性をつくるためのネコの5原則」孔、粒子、やわらかい、斜め、時間。
1990年代のバブル崩壊で仕事がなかった隈研吾は、知り合いから声をかけられ、古い木造の芝居小屋を保存する運動にかかわる。高知県の山間部にある森林の町、梼原(ゆすはら)だった。以降、隈は地方の仕事を多く手がけるようになり、木を用いた作品が増えていく。そして梼原町で1994年竣工の「雲の上のホテル」をはじめに、町役場や図書館など6件の建築を設計した。『隈研吾 はじまりの物語』青幻社2021
隈研吾「ネコに学び、ハコを出よう」。建築家は、猫の行動に何を学ぶのか。
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作品の一部
高輪ゲートウェイ駅、2020年
雲の上のホテル、梼原町、1994年
雲の上のレストラン、梼原町、1994年
雲の上の図書館、2018年
隈研吾が高知県梼原町で設計した建築「雲の上の図書館 / YURURIゆすはら」2018年 コピーライトKawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office
瀧本幹也「梼原のインスタレーションのためのプラン」2020年 コピーライトMikiya Takimoto
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シェイクスピア「ロミオとジュリエット」「猫王どの、九つあるというおぬしの命がたった一つだけ所望したいが」(Mer.Good King of Cats, nothing but one of your nine lives)
【エジプト九柱神(エネアド)】アトゥム(天地創造の神)、シュウ(大気の神)、テフネト(湿気の神)、ゲブ(大地の神)、ヌト(天空の神)、オシリス(生産の神)、イシス(豊穣の神)、セト(砂漠と異邦の神)、ネフティス(夜の神)
1930年に著された「猫と魔術と神話事典」(柏書房)では、「紀元前450年頃にエジプトを旅したヘロドトスは、当時のエジプトにおいてオシリスとイシスの娘がバステトであるとみなす通念があった」としています。「バステト」とは猫の姿をした女神で、エジプトにおける猫崇拝の中心的存在でした。ここで九柱神とバステトとの間に接点が生まれます。バステトと九柱神、すなわち数字の「9」との間に接点が生まれたということは、神の化身としてとらえられていた猫と「9」との間にも接点が生まれたということでもあります。以後数千年に渡って受け継がれる、猫と「9」との切っても切れない縁は、このような流れで生まれたのだと推測されます。
――
参考文献
『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』公式カタログ
宮脇檀「建築家の眼・好奇心への旅」、世界文化社、1991
宮脇檀「最後の昼餐」、新潮社、1997
大久保正雄「地中海紀行、旅する哲学者 美への旅」
アクロポリスの光と影 パルテノン神殿
https://t.co/nmDmRi4sGN
パルテノン神殿 彫刻家フェイディアス アクロポリスのコレー
アクロポリスのコレー 時を超えて蘇る少女
https://t.co/H9JyoTOReE
梵寿綱、生命の賛歌 輝き溢れる芸術建築
https://bit.ly/3A5Ko46
『隈研吾 はじまりの物語』青幻社2021
隈研吾展・・・迷宮建築への旅、雲の上のホテル
https://bit.ly/35STPGx
――
隈研吾展、東京国立近代美術館、6月18日(金)~9月26日(日)
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/kumakengo/?twclid=11408878817754566661

2016年12月17日 (土)

梵寿綱、生命の賛歌 輝き溢れる芸術建築

Von_jour_cauxVon_jour_caux_mind_waaVon_jour_caux_198401大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
梵寿綱、生命の讃歌、生命の輝き溢れる芸術建築
梵寿綱氏の建築は、地中海の生命の輝き溢れる建築の香りがする。フランチェスコ・ボロミーニのバロック建築の迷宮を歩いた時を思い出す。ローマ、噴水の街角、サンカルロ・アッレ・クワットロ・フォンターネの迷宮。
梵寿綱、異端の建築家
梵寿綱師に、教えられた。高度な普遍的な学問を修めても価値がない。創造的学問、創造的研究を自ら創造するべきだ。個性的な独創的な学問ならば、その人の処に求めにくる。
梵寿綱師は、「グランドジャット島の日曜日の午後」*の絵の前を毎日通って、秘密の通路から研究所に通った。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
【芸術建築】梵 寿綱(Von Jour Caux、本名:田中 俊郎1934年1月27日 - )、日本の建築家、芸術家、思想家。
東京都浅草出身。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、シカゴ美術館附属美術大学で学ぶ。
1974年6月より梵寿綱を名乗り「梵寿綱と仲間たち」を結成。以来、近代工業製品化している建築技術、様式に疑問を投げかける。「日本のガウディ」の異名を持つ。
梵寿綱建築、ドラード早稲田、マインド和亜、MUNDI ANIMUS精霊の館
―――――
日本のガウディ、梵寿綱の建築 - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2139080974526375301
Mundi Animus 精霊の館
http://1955nonnon.jugem.jp/?eid=15
梵寿鋼「ぼくは日本のガウディではない」TH No.53,トーキングヘッズ叢書より。
大久保正雄『地中海紀行』第104回

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