「古代ギリシア、時空を超える旅」東京国立博物館・・・永遠を旅する哲学者
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
夕暮れ散歩、夕暮れの森を歩いて、博物館に行く。ギリシアを旅した輝ける日々を思い出す。アテネ、デルフォイ、テッサロニキ、メテオラ、ロドス島、クレタ島、エーゲ海クルーズ。黄昏の丘のアテナ神殿。黄昏の神殿に、木の香りが漂う。黄昏の丘を歩いた日々。
ギリシア全土をめぐって、美術館でみた美しい軌跡。アクロポリスのコレー、デルポイの御者、アルテミシオンのゼウス、うずくまるヴィーナス、クレタ島のファイストスの円盤、ミノス王の迷宮、ロドス島のリンドス、クレタ島の蛇をもつ女。クノッソス宮殿。黄昏の丘を歩いた日々。美しい記憶。失ったものは永遠に美しい。星の輝く夜、美しい天使が舞い降りる。
旅立とう。エーゲ海へ。美しい人とともに。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』より
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哲学者は永遠を旅する。フォンテーヌブローの森の貴族の館で幻の『レダ』をみる。
レオナルドの微笑みをみると、ボロマンドラのクーロス、アクロポリスのコレーを思い出す。ペプロフォロス、ヒュマティオンを纏うイオニアの少女。
レオナルドのレダの微笑みは、ギリシアのアルカイック・スマイルと同じ根源である。
内なる心において美しい人になることを希求するソクラテスの祈りのように、根源の美への旅である。
永遠を旅する哲学者は、永劫の翼に乗って、古代へ旅する。
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世界の果てに辿りつき、美の泉を手に入れても、立ち上って、さらに、歩いて行かなければならない。美のイデアに向かって。
永遠を旅する哲学者 魂の果てへの旅
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
わたしは自分自身を探求した。(Fr.101)魂の限界は、それに行き着こうとして、たとえあらゆる道を踏破しても、見つけ出せない。それほど深いロゴス(理)を、魂は持っている。(Fr.45)高慢の焔は、燃える火よりも鎮めなければならない。(Fr.43)
われに聞くにあらず、ロゴスに聞いて、万物が一であることを認める。(Fr.50)
*Diels-Kranz,Die Fragment der Vorsokratiker
『ソクラテス以前の哲学者の断片』ヘラクレイトス より
「永劫の時の広く張った翼以外、ヘラクレイトスは己が立つべき場所を全く知らない。現在や瞬間に属するものには敬意を払わぬということ、これこそ偉大な哲学的天秤の本質である。」*Nietzsche, Friedrich, Die Philosophie im tragischen Zeitalter der Griechen
ニーチェ『ギリシア人の悲劇時代における哲学』
*大久保正雄『地中海紀行 旅する哲学者 美への旅』より
アルカイックのクーロスとレオナルド派「レダ」
大久保正雄「旅する詩人、エウリピデス ギリシア悲劇の極致」
https://t.co/BIXeFsq7GS
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アクロポリスの丘の北側に立つエレクテイオン神殿、美しい柱がある。屋根を支える女人柱、6体のコレー(乙女)像。 カリアティデスと呼ばれる。
エレクテイオン神殿は、イオニア式柱頭を戴き、優美な佇まいである。エレクテイオン神殿には南面柱廊に、6体の女人柱(カリアティデス)が屋根を支える、乙女のテラスがある。柱廊のカリアティデス、柱となった6人の女人が限りなく優美である。エレクテイオンの一角に聖なるオリーヴの木の跡がある。大理石の白亞の列柱に、眞昼の日差しが烈しく降り注ぎ、光と影が烈しい対比を織り成し、眞昼の丘は、溜め息が出るほど美しい。
エレクテイオン神殿、カリアティデス(女人柱)
大久保正雄「アクロポリスの光と影 パルテノン神殿」
https://t.co/nmDmRi4sGN
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★主要な展示作品
キュクラデス型女性像BC 2800~BC 2300年
スペドス型女性像BC 2800~BC 2300年
海洋様式の葡萄酒甕BC1450年
牛頭型リュトン BC1450年
ユリと花瓶のフレスコ画BC17C サントリーニ島ティラ
アッティカ幾何学様式アンフォラ
コレー BC530アテネ、アクロポリス、エレクテイオン出土
ボイオティアのクーロスBC520 アポロン神域
テミストクレスの名前のオストラコン(陶片) BC482年の陶片追放
アルキビアデスの名前のオストラコン(陶片) BC60年の陶片追放
アッティカ黒像様式ピュクシス
ギンバイカの金冠
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★「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」東京国立博物館
2016年6月21日 ~ 9月19日
https://t.co/00mJ5avxKQ
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