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死生学

2017年7月 6日 (木)

島薗進×大久保正雄「死生学 ファンタジーと宗教」ソフィア文化芸術ネットワーク

2017062801_2201706160_2島薗進×大久保正雄「死生学 ファンタジーと宗教」ソフィア文化芸術ネットワーク
【質疑応答】宗教学者、島薗進先生に死生学について見解を質問しました。2017.5. 28
http://platonacademy.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-86b2.html

1【宗教とは何か】
大久保正雄
宗教の本質は何か。信仰。祈り。儀礼。幻想。癒し。救い。神殿。聖なる空間。宗教の定義は何か。例えば、*ソクラテスの祈り(プラトン『パイドロス』)*「當麻寺、中将姫の聖衆来迎練供養会式」。
ソクラテスの祈り プラトン『パイドロス』最後の場面で、ソクラテスが祈る言葉。
「親愛なるパンよ、ならびに、この土地にすみたもうかぎりのほかの神々よ。この私を内なる心において美しいものにしてくださいますように。そして、私が持っているすべての外面的なものが、この内なるものと調和いたしますように。
私が、知恵ある人をこそ富めるものと考える人間になりますように。また、私が持つお金の高は、ただ思慮ある者のみが、にない運びうるものでありますように」『パイドロス』279B

島薗進
宗教は人間のさまざまな営みに用いられている用語で、「本質」を定めることはできないと思います。私は「聖なるものとの関わり」と定義しています。(『現代宗教とスピリチュアリティ』)人間は遠くのほうに思いを馳せる者です。

2【宗教が生まれる原因は何か】
大久保正雄
宗教が存在する理由。孤立する人間、苦悩する人間、混迷する世界に対して、宗教は何をなすのか。
島薗進
理性や日常的な経験で捉えられるものを超えた尊いもの(聖なるもの)がないと人は生きていくことができないと思います。

3【世界観の選択】
大久保正雄
世界の様々な宗教の世界観(Weltanschauung)の選択、その根底にあるものは何か。個に対する既存の社会は、世界観を選択する自由を許さない。ファンタジー文学には、世界観の選択がある。行動の選択は世界観の選択である。しかし、日常世界では、人は世界を選択し、社会構造を選択できない。藝術家、思想家は、現実の世界の軋轢のなかで、行動を選択し世界観を選択する。ファンタジー文学は、世界観を選択して構築される。世界観の選択の背景には、「社会構造の選択」がある。*『ギリシア神話の世界観』、密教の世界観、浄土教の世界観。
島薗進
「軸の時代」(ヤスパース)に古代帝国を基盤に宗教文明が広がりました。
この諸文明が形作っている世界観の枠組みはなかなか変わらない。しかし、近代になってファンタジー文学などにおいて、その枠を超えて個々人の感受性に即応できる世界観の構築が求められるようになってきていると思います。「新しいスピリチュアリティ」もそうした動きの表れです。(『スピリチュアリティの興隆』)

4【藝術家と宗教】
大久保正雄
藝術家と宗教との関係について。孤高の藝術家、壮絶な人生を生きる藝術家。藝術家は、苦悩の人生、壮絶な人生を生きる時、思想、宗教を心の支えとする。例えば、李白、葛飾北斎。*
李白は、60年の壮絶な人生を旅に生きた。「白髪三千丈、愁ひに縁りて、箇くの似く長し、知らず明鏡の裏、何れの処よりか秋霜を得たる。」。道教の隠者の生活を行った。(*井波律子『中国の隠者』、筧久美子『李白』)
北斎は、93回引越、30回画号を変える。73歳で代表作「神奈川沖浪裏」『富嶽三十六景』を生みだす。北斎は、67歳で脳卒中に襲われ、自分で治す。柚子を磨り潰して日本酒に溶かして飲む自家療法で治した。北斎が追い求めていたのは唯一つ。画業を極めること。75歳で画狂老人卍を名のる。傑作『鳳凰図屏風』を画く。(*大久保正雄『天翔ける不死鳥の画家北斎』)。
北斎 88歳ごろ『富士越龍図』(1849年)を画く。90歳画狂老人卍として死ぬ。「あと5年あれば、真正の画工になれるのに」(*飯島虚心『葛飾北斎伝』)
葛飾北斎は、日蓮宗や妙見菩薩、老荘思想など、複雑な信仰の持ち主。数多くの転居や画号の由来から、ある貫徹した信念にたどり着く。毎日獅子の絵を描くことが何故悪魔祓いになるのか。妙見信仰の対象は北斗七星か北極星か。(*諏訪 春雄『北斎の謎を解く―生活・芸術・信仰』)

島薗進
これは『宗教を物語でほどく』という本と関わっていますが、宗教と芸術は重なり合う例が多いです。近代以前は宗教芸術が主流だったと言えるかもしれません。近代になって、伝統宗教の枠を超えるような芸術家が多く輩出するようになってきます。宗教に近づけない現代の芸術家も道具立として、宗教を頼りにする例も多いです。藝術家は、どこまでも求めつづける。
宗教は、悲しみの器。悲しみを容れる器であり。悲しみを力に変える装置です。

5【天から降りてきた魂】
大久保正雄
ファンタジーには、天から降りてきた人のテーマがある。純粋な魂が、天から降りてきて、地上で苦の修行をして、天に還る。例えば、『星の王子さま』、宮澤賢治『雁の童子』、プラトン『パイドロス』魂のミュートス。*
島薗進
アンデルセンの「人魚姫」は海の底に「もう一つの世界」がありますが、最後は天に「もう一つの世界」がありますね。宮澤賢治は仏教徒なので、さまざまな天界があるという世界観がふさわしいはずですが、銀河のような無数のものを抱擁する一つの天のような他界を描いたようです。「ひかりの素足」では、地獄も出てきます。

6【織田信長と天の思想】
大久保正雄
織田信長は、天の思想をもっていて、自らの仕事を天命と考えていたといわれる。
安土城天主閣は、5層7階の天主閣、儒教、道教、仏教の世界観の屏風絵があった。天正の暦を天皇に採用させた。織田信長は、ローマから西洋の考えを輸入しようと考えた。宗教弾圧、藝術弾圧したのは、秀吉、家康である。(*大久保正雄『メディチ家と織田信長』)
島薗進
信長は日本の世界観からはみ出しそうになったところで死にました。キリスト教の影響も考えられますが、儒教における天の意思を受けた皇帝の観念の影響もあるかと思います。中国や韓国には「天」の理念があり、日本はそれが弱いです。

7【『秘密曼陀羅十住心論』】
大久保正雄
空海『秘密曼陀羅十住心論』『秘蔵宝鑰』『聾瞽指帰』。これは、比較宗教学、思想史の書であるが、意識レベルの上昇の精神史、地上の階級社会と精神の意識レベルとの隔絶を表している。地位ある者が、優れた精神をもつ者ではない。人の生きかたを問う倫理学でもある。(*例、『星の王子さま』6つの星めぐり、地理学者と探検家、プラトン『国家』第9巻。)*空海、サンテグ・ジュペリ、プラトンは「様々な生きかたを比較」して、よい生きかたを問う。意識レベルを比較する世界観がある。

島薗進
中国の仏教学は体系的な構築が行われ、教相判釈という比較宗教的な論理構造を作っていきました。日本でそうした思想構造を構築した稀有な仏教思想家が空海でしょう。中世的な唯一の真理の下の多様な世界観の位置づけということかと。
多様な思想を受け入れて存在するこの世界。現実の世界は、高い精神と俗なる人間、聖なる者と俗なる者が共生する世界です。

8【父殺しのテーマ】
大久保正雄
父殺しのテーマと宗教の誕生はどうかかわるのですか。父殺しのテーマと宗教の誕生、父権の抑圧と子の反抗、神話学の「聖なる弑逆」。(ソフォクレス『オイディプス王』、フロイト『トーテムとタブー』)。
島薗進
社会の秩序が父性的な存在、至高神に由来するとする神話が世界にみられます。救済の思想はそこになぜ苦難があるのかという根源的な葛藤と関わりがあります。そこでは、見放された存在が出てくる。仏教でも阿闍世王の物語があります。フロイトはキリスト教を横目に見ながら、神と人との葛藤を父殺しとして捉え返したと思います。宮澤賢治は、質屋を経営する父と確執があった。法華経を広めることを父に託して、この世を去った。

9【人の痛みを知ること】
大久保正雄
人の痛みを知る心をもつことは極めて難しい。どのようにすれば、人の痛みを知る心を持つことができるのか。「どんなに高度な知識をもっていても、人の痛みを知らなければ存在する価値がない」。「神々は、知恵に到る道の前に、苦悩を置いた」(エウリピデス)。「人の痛みを知る心」は、知識ではなく、知恵である。「徳(アレテー)を教えることは困難である」(プラトン『メノン』)。「惻隠」の心は仁のはじまり。苦悩する体験をもつ人は、人の痛みを知ることができる。(*ギリシア悲劇、『孟子』、プラトン『メノン』)しかし、自分自身が苦悩を経験していても、他人の不幸は蜜の味、という人が存在する。
島薗進
これは難問ですね。痛みを経験した人が皆、他者の痛みを知るようになるわけではない。しかし、救済宗教が教えていることの核心かと思います。
「人間だけが赤面する。最近の人間は赤面しなくなった。特に、政治家は恥知らずだ」(山極寿一、ゴリラ学、京都大学)。現代人の失った赤面。近代人の失った悲しみ。人間は、悲しみを思い出すべきです。

10【理念の崩壊は『純粋理性批判』から始まった】
大久保正雄
『純粋理性批判』によって形而上学が否定された。「形而上学の崩壊」によって宗教の理想、プラトンの理念の崩壊が始まった。カント『純粋理性批判』は形而上学を否定した。カントは、先験的総合的判断(Synthetische Urteil a priori)は、疑いえない人間の判断と考え形而上学を批判した。人間の認識の根拠を科学的判断と考えた。科学主義である。「形而上学否定の根拠。感性的直観の対象となりうるもののみが存在する」(岩崎武雄『カント』思想学説全書、勁草書房P172)

島薗進
ポスト形而上学という近代以後の世界の特徴ですね。『宗教学の名著30』で述べましたが、現代世界はいかにして超越性を再構築するかの模索が続いていると思います。
★参考文献
島薗進『こころをよむ 物語のなかの宗教』
島薗進『宗教を物語でほどく』
島薗進『宗教学の名著30』
島薗進『現代宗教とスピリチュアリティ』
島薗進『スピリチュアリティの興隆』
島薗進×夢枕獏『人間って何ですか?』
島薗進『日本人の死生観を読む』
大久保正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲學史』理想社
大久保正雄「美の奥義 プラトン哲学におけるエロス(愛)とタナトス(死)」詩誌『酒乱』
大久保正雄「プラトン哲学と空海の密教 ―書かれざる教説(agrapha dogmata)と詩のことば―」
大久保正雄「ギリシア悲劇とプラトン哲学の迷宮 ―ことばの迷宮―」詩誌『酒乱』
大久保正雄「魂の美學 プラトンの対話編に於ける美の探究」
大久保正雄「不死鳥の画家、北斎 北斎は天翔ける。美の天に向かって」
大久保正雄「愛と美の迷宮 イギリスロマン派からラファエロ前派」
大久保正雄「幻の花の都、京都 美の洗練、破壊と創造」

【質疑応答】島薗進×大久保正雄「死生学 人の心の痛み」
http://platonacademy.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-b6d6.html

2017年4月 2日 (日)

島薗進「死生学 ファンタジーと宗教の意味を考える」ソフィア文化芸術ネットワーク

Miyazawakenji島薗進「死生学 ファンタジーと宗教の意味を考える」
2017年5月28日、上智大学、1号館202教室、午後2時から4時
ソフィア文化芸術ネットワーク主催
―――――
島薗進 宗教学者、東京大学大学院名誉教授、上智大学大学院教授
生とは何か。死とは何か。人の心の痛みをどう癒すのか。死生学のテーマを、ファンタジー文学、宮澤賢治、古今東西の古典、仏教書、聖典を通して考える。ファンタジーは生死の意味を問い、生と死を超えるメッセージを表現する。宗教は、生死の問いに何を教えるのか。ファンタジーと宗教の意味を考える。「宗教は、物語の形で、人が生きるうえで大切な何かを伝えてきた」(島薗進『こころをよむ 物語のなかの宗教』)。死生学(Thanatology)の根本にある問いは「死を迎える人の心の痛みにどう応えるべきか」。
【講演】島薗進、【解説、質疑】大久保正雄【司会】畑仲紀子【企画】大久保正雄
――――――――――
ソフィア文化芸術ネットワーク
【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-8607.html
★問い合わせ 上智大学ソフィア会 Tel.03-3238-3041
上智大学、四谷キャンパス地図 
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

2016年8月13日 (土)

【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』

20160529022016052901【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』
島薗進『死生学 日本人の死生観を考える』上智大学5月29日
https://t.co/6w4A3WzvSe
私の体験を踏まえて、島薗先生に、死生学について質問しました。
ある時、突然、病気が発症し救急車で運ばれ、生死を彷徨い三か月入院しました。虎の門病院分院で、退院する最後の日、ナースが部屋にやってきて「あなたの退院は私が担当します。あなたは、人の苦しみがわかる人だから、苦しかったでしょう」と言われ、涙があふれた。病院で過ごした日々を思い出した。生老病死、運命、幽明界につて病院で深く考えた。星空は金剛界曼荼羅、イデア界のように、私にみえた。
島薗先生への質問と回答の要旨は下記の通りです。
―――――
1、【他界からの訪問者】
大久保正雄「他界からの訪問者」の物語、「他界憧憬」について。(宮澤賢治『風の又三郎』。
「純粋な魂が、天界からやってきて、この世で苦難を経験し、天界へ帰って行く」という世界観がある。様々な文学、哲学にある。と考えられる。このような考えを現代人は、共感できない。これが現代人の魂の衰退の一つ現れだと思います。
例えば、サン・テグ・ジュペリ『星の王子さま』、プラトン、ウィリアム・ブレイク、ダンテ、空海。純粋な魂が、天界からやってきて、この世で苦難を経験し、天界へ帰って行く。藝術家、思想家は「生死の彼方から見た生の視点」がある。倫理的意識がある。異界からやってきて、異界に帰って行く。魂の物語。天界の魂が、何かの原因で、地上に降りてきて、地上で経験し、地上の苦難を経て、天界に帰って行く。*プラトン生と死の対話編『饗宴』『パイドン』『パイドロス』。空海『秘蔵宝鑰』生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し。
島薗進「MortalなものとImmortalなものがある。近代人はImmortalなものを感じることができない。これに対して、ファンタジーが有効な方法である。宮澤賢治はアンデルセンから影響を受けた。」

2、【輪廻転生】
大久保正雄「世界の宗教の中で、輪廻転生の思想をもつ人々がいる。他方もたない人々がいる。宗教学からみると、世界観はどのように違うのか。どのような原因、背景が考えられるますか。
輪廻転生の思想は、インド人の死生観、ギリシア人の死生観、古代エジプト人の死生観にある。仏教は、無我説であるが、同時に、輪廻転生説に立つ。これは仏教の根本的問題であるといわれる。空海は、即身成仏、速疾成仏であり、目標が高く困難である。(末木文美士『仏典をよむ』第九章210-212)「永遠の生」の思想は、死の思想である。(末木文美士『仏典をよむ』第九章214)。現代人は、仏教の輪廻転生説を考えることができない。
島薗進「沖縄人の死生観では、海の彼方に死者の世界がある。死後、融けた生命に帰ってくる。生命のプールがある。回帰的宇宙観がある。」

3、【人は、どのようにして、他の人の痛みを感じることができるようになるか】
大久保正雄「人は、どのようにして、他の人の痛みを感じることができるようになるか。」
日本人は、人に痛みに共感することができない、といわれる。日本人は、英国人、中国人よりはるかに下位。OECDのある調査で世界最下位。「自力で生きていけない人たちを助けるべきだとは思わない人、日本38%、米28%、英8%。」http://linkis.com/bit.ly/TiIW
死をむかえる人の心の痛みに応えることができるのか。「他人の痛みは、分かるのか。他人の痛みは、分からない」 (ウィトゲンシュタイン『哲学的探究』(Philosophische Untersuchungen)「私的言語論」「痛み」)人の心の痛みを感じる心は、慈悲心が必要。非常に難しい。
島薗進「人の痛みを感じる心を教えるのは難しい。人の痛みを感じることができるためには、教養が必要です。教養よりも、子供の時の経験が大切です。日本人は臓器移植についても否定的な人が多い。人の苦しみを共感できない人が多い。背後には、科学の過信への疑問がある。」

4、【ギリシア人の死生観】
大久保正雄「ギリシア人の死生観は「人間にとっては、この世に生まれてこないことが幸せであり、生まれてきたら早く死ぬことが幸せである。」。「宮澤賢治『よだかの星』に似ている。これは、現代人の考えと違うと思われる。宗教学者として、どのように考えますか。」「ギリシア悲劇、ソフォクレス『コロノスのオイディプース』(1224-1227)、ソフォクレスに先立つ前6世紀のエレゲイア詩人テオグニス『エレゲイア詩集』」
島薗進「この世に生まれ生きることは苦だという死生観がある。苦しい人生を生きるより、生まれないほうがよい、という考えは、日本人の死生観にある。」

5、【幸せとは何か】
大久保正雄「宗教学者が考える「幸せとは何か」。例えば「幸せとは何か。」ホセ・ムヒカの考えは、
幸せとは生きることに喜びを見出すこと。情熱を傾ける何かが必要。歩きつづけることが幸せ。目標に向かって戦う者は幸せ。希望があるから。貧しい人とは少ししか持っていない人ではない、もっともっといくらあっても満足しない人である。『知足』が大切。若い人でも、心が老いた人がいる。
我々は発展するために地球にやってきたのではありません。幸せになるために地球にやってきたのです。2016年4月8日。ホセ・ムヒカ「4つの教訓」 1. 消費主義に支配されるな 2. 歩き続けよ  3. 同じ志を持つ仲間を見つけて闘争せよ 4. 自分の利己主義を抑えよ 
http://news.livedoor.com/article/detail/11393035/
島薗進「私は、ホセ・ムヒカの考えは好きです。しかし、歩くのを止めて、立ち止まってもよいのでは。」

6、【仏教の根本前提】
大久保正雄 「『仏教の根本前提』は、何であると考えられますか。プラトン哲学の根本前提は、『魂の不死不滅、輪廻転生、イデアの存在、想起説』。この4つの思想である。と考えらえる。プラトン『パイドロス』魂のミュートスは、4つの前提の上に成り立つ。魂は、一組の馬とその手綱を取る馭者からなり、翼をもち宇宙をかけめぐる。魂が神の行進について行けなくなると、地上に落ち肉体のうちに誕生する。何かを認識することは、かつて魂が見たイデアを思い出す(想起する)ことである。
島薗進「仏教の根本前提のなかで重要なものは縁起説だと思う。原因に縁って結果が起きる。」*
*注 縁起説「原因に縁って結果が起きる」。
*注 十二縁起。無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死→(無明に繋がる)。
仏陀は、人生を苦とみた。苦の原因は、十二縁起。
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-b779.html

7、【空海のことば『答叡山澄法師求理趣釈経書』】
大久保正雄 「古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。」空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』。(真理の道を究めるために道を探求したが、現代の人は、地位名誉と利益のために道を探求する。) 空海の言葉は、現代の学問の世界にも当てはまる。地位と名誉と利益のために行動する御用学者が極めて多い、例えば原子力安全委員長、斑目春樹氏。宗教学者として、どう思われますか。
*古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。名の為に求むるは、道を求むる志にあらず。
空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』(叡山の澄法師、理趣釈経を求めたるに答うるの書)
島薗進「その通りです。日本人は、狭い道、専門家の道を考える、茶道、書道など。中国の道はより根源的。本質的な人間の道がある。」

8、【比叡山焼き討ち】
大久保正雄 「島薗先生は、比叡山の高僧と交流されていますが、【織田信長、比叡山延暦寺、焼き討ち(元亀二、1571年 】根本中堂焼き討ちはなかった、と戦国史研究者が分析している。比叡山延暦寺は、現在どのような見解ですか。最澄空海の時代から7百年後、比叡山は利権団体化した。信長「天下布武」は臨済宗妙心寺派の僧沢彦宗恩の教示による。公家寺家の利権を攻撃することが目的である。浅井朝倉に与する比叡山を明智光秀が攻撃。(*比叡山焼き討ちに関する考古学的調査、滋賀県による)
島薗進 「織田信長は、一向宗(浄土真宗)を徹底的に攻撃した。世俗権力と合体して大衆を動かしたからである。比叡山焼き討ちは、大規模ではなかったと思う」

2016年4月27日 (水)

島薗進『死生学 日本人の死生観を考える』上智大学5月29日

Sugiyama_1986島薗進『死生学 日本人の死生観を考える』上智大学5月29日
2016年5月29日、午後2:00-4:00  上智大学1号館204教室
島薗進 宗教学者、東京大学大学院名誉教授
死生学(Thanatology)とは何か。死生学の根本にある問いは「死を迎える人の心の痛みにどう応えるべきか」。「魂とは何か」「善い生きかたとは何か」「死にゆくことには如何なる意味があるのか」「生老病死とは何か」。病院の医師や看護師に死生学を教える授業がある。
【講演】島薗進、【解説、質疑】大久保正雄、【司会】畑中紀子、【企画】大久保正雄
――――――――――
島薗進『日本人の死生観を読む』朝日選書、『死生学1死生学とは何か』東京大学出版会、『宗教学の名著30』ちくま新書、他。
大久保正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲学史』理想社、「美の奥義 プラトン哲学におけるエロス(愛)とタナトス(死)」、「プラトン哲学と空海の密教」、「魂の美学」、「幻の花の都、京都」、「花盛りの京都、幻の都へ」他。
――――――――――
ソフィア文化芸術ネットワーク
★問い合わせ 上智大学ソフィア会 Tel.03-3238-3041
上智大学、四谷キャンパス地図
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

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