東洋陶磁、安宅コレクション名品選101・・・狂気と礼節のコレクター、美的な価値の基準はどこにあるか
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第324回
飛青磁、油滴天目、木葉天目の美しさは卓越している。速水御舟の絵画コレクション、中国韓国陶磁コレクション、気品と静謐と峻烈を誇る美術は必見の価値がある。安宅英一(1901-1994)は、王侯貴族でもなく、現代において、なぜ、贅沢なコレクションを蒐集できたのか。美的な価値の選択基準はどこにあるのか。
王侯貴族の美術蒐集家としては、唐の太宗皇帝李成民、コジモ・デ・メディチ、ロレンツォ・デ・メディチ、フェリペⅡ世、フランソワ1世を思い出す。王侯貴族の楽しみは、至高の藝術コレクションである。王侯貴族は、美的な価値の選択基準を持っていた。
織田信長は、天下一の藝術家、知識人を見い出した。狩野永徳、千利休、津田宗及、本因坊算砂、ルイス・フロイス、信長の近臣、沢彦宗恩、牛田牛一、武井夕庵。
【ルネサンス、フランソワ1世】フランソワ1世(1494-1547)、1515年20歳でフランス王に即位。レオナルドを招く。1516年秋、メルツィとサライを連れてアンボワーズ城に来る。フランソワ1世は、『聖アンナと聖母子』の下絵に彩色させるために、レオナルドをフランスに呼んだ。「主席画家、技師、並びに建築家」の称号をアンボワーズの宮廷で与えられる。レオナルド64歳。
1517年10月10日、レオナルドは、訪問した枢機卿ルイジ・アラゴーナに3枚の絵を見せる。『ジュリアーノ・メディチ(1453-1478)*のために描かれたあるフィレンツェの婦人の肖像』(モナリザ1503-1505)*『洗礼者聖ヨハネ』(Leonardo,San Giovanni,1514)『聖アンナと聖母子』(1510)。レオナルドは、シャンボール城を設計する。レオナルド(1452-1519)67歳で死す。
フランス革命直後、1793年、新しい市民社会の獲得と共に、歴代の王室コレクションが一般公開されたのがルーヴル美術館の誕生である。現在は35万点以上を所蔵する。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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展示作品の一部
《加彩 婦女俑》(かさい ふじょよう)
中国 唐時代 8世紀
大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)
写真:六田知弘
国宝《油滴天目 茶碗》
中国 南宋時代 12-13世紀
大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)
写真:六田知弘
重要文化財《木葉天目 茶碗》
中国 南宋時代 12-13世紀
大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)
写真:六田知弘
国宝《飛青磁 花生》(とびせいじ はないけ)
中国 元時代 14世紀
大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)
写真:六田知弘
青磁刻花 牡丹唐草文様 瓶
中国 北宋時代 11-12世紀
《粉青鉄絵 蓮池鳥魚文 俵壺》
朝鮮時代 15世紀-16世紀
《青磁鳳凰耳花生》
中国 南宋時代 12-13世紀
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参考文献
『大阪市立東洋陶磁美術館、安宅コレクション名品選101』青幻社2023
不変/普遍の造形—中国青銅器名品選・・・饕餮文、鴟鴞文、殷周の謎の文様
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「桃山―天下人の100年」3・・・茶の湯、足利義政、織田信長、津田宗及、千宗易、豊臣秀吉、楽長次郎
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「響きあう名宝─曜変・琳派のかがやき─」・・・幻の曜変天目、本能寺の変
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織田信長、第六天魔王、戦いと茶会・・・戦う知識人の精神史
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織田信長、茶を愛好、本能寺の変、天下布武、天下の三肩衝・・・戦う知識人の精神史
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東洋陶磁、安宅コレクション名品選101・・・狂気と礼節のコレクター
https://bit.ly/40u9Bl4
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展覧会概要
世界有数の東洋陶磁の名品を所蔵する大阪市立東洋陶磁美術館。その中核をなすのが、安宅産業株式会社の会長であった安宅英一氏(あたか・えいいち 1901-1994)の美意識によって収集された961件におよぶ東洋陶磁からなる「安宅コレクション」です。従来の伝統的な価値観や枠組みにとらわれることなく、安宅英一という一人の芸術家的な眼をもった収集家によって築かれたコレクションで、国宝《飛青磁 花生》《油滴天目 茶碗》に代表される優れた中国陶磁143件、高麗・朝鮮時代を代表する作品を数多く含む韓国陶磁791件を中心に構成されます。
安宅英一は父の安宅弥吉の安宅商会に入社後、26歳でロンドン支店長となり、帰国後30代半ばから音楽や美術に関する支援活動を始めました。戦後日本のクラシック音楽のパトロン、近代の日本画家・速水御舟のコレクターとしても知られる彼は、昭和26年(1951)安宅産業の事業の一環として美術品購入が認められると、本格的な東洋陶磁の収集を開始し、それは経営が行き詰まる昭和51年まで続きました。その後、散逸の危機に直面した「安宅コレクション」を大阪市に寄贈し、美術館建設に寄与したのが、大阪を基盤とする住友グループでした。本展では、安宅コレクションから国宝2件、重文11件を含む名品101件を選び、珠玉の東洋陶磁を紹介します。
また、こうした住友グループの文化貢献の基盤には、住友家十五代当主であった住友春翠(すみとも・しゅんすい 1864-1926)が育んだ近代的な社会貢献活動(図書館や美術館などの文化施設建設、内国勧業博覧会開催支援など)がありました。大阪市立東洋陶磁美術館設立への支援は、近代住友の社会貢献精神を受け継いだ戦後の住友グループの文化貢献事業を象徴する大きな事業のひとつといえます。リニューアルオープンした新しい展示室 で、中国陶磁、韓国陶磁の名品、さらに住友コレクションの中国絵画の国宝《秋野牧牛図》や高麗仏画の重要文化財《水月観音像》(展示替えあり)とのコラボレーションをご覧頂きます。
展示構成(予定)
*掲載作品の所蔵はすべて大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)
1.珠玉の名品室
安宅コレクションを代表する珠玉の名品をご紹介します。茶の湯的な美意識や近代以降の新たな鑑賞陶磁や民芸的な美意識を超えて、安宅英一が見出した「美」の神髄をご堪能ください。
2.韓国陶磁室
安宅コレクションの中でも質、量ともに世界有数のコレクションである韓国陶磁。その柔らかな美しさは早くから日本人の心を魅了しました。長く立ち上がる頸が優美な高麗時代の《青磁陽刻 牡丹蓮花文 鶴首瓶》、比類ない朝鮮時代の逸品《粉青鉄絵 蓮池鳥魚文 俵壺》など、各時代を代表する名品を紹介します。
3.中国陶磁室
宋・元・明時代を中心とする中国陶磁は、昭和40年代に入手した鴻池家伝来の国宝《飛青磁 花生》、酒井家伝来の国宝《油滴天目 茶碗》、加賀前田家伝来の重要文化財《木葉天目 茶碗》という伝世の茶の湯の名品に代表されます。また、「雨過天晴」とも形容される北宋時代の宮廷用の汝窯青磁や各名窯の優品など見どころ満載です。
4.住友コレクションとの競演
陶磁器の器形には、中国古代青銅祭器から継承されたものが多くみられます。特徴的な形に注目し、住友コレクションとの競演をお楽しみ頂きます。
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大阪市立東洋陶磁美術館、安宅コレクション名品選101、泉屋博古館東京、3月18日(土)~5月21日(日)
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