「歌仙 在原業平と伊勢物語」・・・恋多き青年歌人、運命の平城天皇の第5皇子、在原業平の運命
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第421回
在原業平(825~ 880)は、平城天皇の第5皇子。平城天皇は、嵯峨天皇に譲位するが、平城上皇の乱を起こす。平城上皇による国家反逆罪である。運命の人、在原業平の冒険。
【平城上皇の乱】譲位した平城上皇が太政官人半ばを率いて平城旧京に遷り、寵妃・藤原薬子とその兄仲成に擁せられ朝政に干渉した。天皇は巨勢野足・藤原冬嗣を蔵人頭に補するなどによって対抗。弘仁元年(810)九月、上皇の平城遷都の命を機として坂上田村麻呂以下の兵を派遣、上皇方を制圧した。上皇は入道、薬子は自殺、仲成は射殺、皇太子高丘親王は廃され、阿保親王・藤原真夏らは左遷。高丘親王は空海によって僧となり天竺へと旅立つ。澁澤龍彦『高丘親王航海記』。【平城上皇の乱810、弘仁・貞観の治、文化の華】弘仁・天長・承和の約三十年間、嵯峨天皇(上皇)の権威と指導のもとに太平が続き、空海・小野岑守・同篁・良岑安世らの人材が輩出。【平安時代600年の平和の基礎は嵯峨天皇により築かれた】
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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■展示作品の一部
重要文化財 三十六歌仙図額 在原業平像 1面 岩佐又兵衛筆 江戸時代・寛永17年(1640) 仙波東照宮蔵 (埼玉県立歴史と民俗の博物館寄託)⋆
重要文化財 蔦の細道図屏風 深江芦舟筆 6曲1隻 江戸時代・18世紀
東京国立博物館蔵(Image:TNM Image Archives)[展示期間:2/21 ~ 3/7]
伊勢物語図色紙 第82段1「渚の院の桜」 伝俵屋宗達筆 1幅 江戸時代・17世紀 個人蔵
【岩佐又兵衛(1578-1650)は、織田信長に謀反した戦国武将、有岡城主、荒木村重の末子】母方の姓を名乗り、数奇な運命をたどり絵師として活躍した。重要文化財「弄玉仙図」、桐木のもとで簫をふく弄玉は妖艶である。又兵衛の母の面影である。母、荒木村重の妻は、有岡城の戦い(天正7年1579年)で敗れ信長軍に処刑された。「百二十二人の女房一度に悲しみ叫ぶ声、天にも響くばかりにて、見る人目もくれ心も消えて、感涙押さえ難し。これを見る人は、二十日三十日の間はその面影身に添いて忘れやらざる由にて候なり。」『信長公記』。
⋆岩佐又兵衛(1578-1650)「山中常盤物語絵巻」は、奥州へ下った牛若を訪ねて、都を旅立った母の常盤御前が、山中の宿で盗賊に殺され、牛若がその仇を討つ物語、これには岩佐又兵衛の体験が滲んでいる。
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歌仙在原業平と伊勢物語
1,歌仙在原業平
10世紀初頭に成立した最初の勅撰和歌集『古今和歌集』の仮名序で、「ちかき世にその名きこえたる人」として六人の歌人すなわち六歌仙があげられていますが、業平はそのうちの一人です。その六人とは、在原業平、僧正遍照、喜撰法師、大友黒主、文屋康秀、小野小町。ここでは館蔵品で今回初公開の押絵おしえ六歌仙帖が展示されます。
2,伊勢物語の成立
『伊勢物語』は、業平の和歌による歌物語ですが、業平が生きた時代に最も近い『古今和歌集』には、伊勢物語の中でも重要な章段で登場する話が多くあります。ここでは当館で所蔵する『古今和歌集』、『後撰和歌集』、『拾遺抄』などの古い和歌集で業平に関する部分が展示されます。
古今和歌集 上・下 2冊 烏丸光広筆 江戸時代・17世紀 三井記念美術館
3,伊勢物語の展開
近世以降、伊勢物語の受容層を増加させるきっかけとなったのが、いわゆる「嵯峨本」と呼ばれる豪華な版本の存在です。本展で展示される大東急記念文庫所蔵本は、雲母刷の表紙、色替わりの料紙を交えた、写本のような美しい作品です。
菱川師宣が絵を手掛けた『新版伊勢物語頭書抄』など、当代の人気絵師が関与した例や、版本の伊勢物語を文章・書風に至るまで忠実にパロディ化した『仁勢物語』(大東急記念文庫蔵)なども展示されます。
■展示室6 伊勢物語の名所
伊勢物語にゆかりのある名所や、伊勢物語にちなんだ名所が日本の各所にあります。ここでは江戸時代の大工頭中井家に伝わった絵図を関連の写真とともに展示します。このほか各地の名所を写真で紹介します。
展示室7 伊勢物語の意匠化と芸能化
1,留守模様とデザイン化
留守模様るすもようとは、登場人物を描かず、その物語を象徴するモチーフや、和歌や詩の一部の文字を散らして暗示する表現方法です。色絵竜田川図向付は、尾形乾山の作で紅葉と流水を大胆にデザインした色絵陶磁器です。伊勢物語からの発想とすれば、第106段「龍田川」の留守模様です。
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プレスリリースより
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平安時代前期に活躍した在原業平(825~ 880)は、天皇の孫で和歌に優れた貴公子として知られます。その「歌仙」として、また「恋多き歌人」としての人物像は、彼の和歌にくわえ、『伊勢物語』の主人公に仮託されることで拡散していきました。
2025年は、業平の生誕1200年にあたります。これにちなみ、現在でも人気が高い業平と『伊勢物語』を題材に生み出された絵画・工芸・茶道具等の作品を集め、そのイメージの広がりの豊かさと、造形の魅力を探ります。加えて、和歌の典拠の一つとされる『古今和歌集』や、近世における普及の一端を担った版本・絵入本などの典籍を通じて、『伊勢物語』の成立と普及の過程についても展示いたします。
⿎展示構成
展示構成は以下のように展示室ごとのテーマで展示いたします。
展示室1:ダイジェスト伊勢物語
展示室2:伊賀耳付花入 銘業平
展示室3:如庵 「能の業平」
展示室4:絵画化された伊勢物語
展示室5:歌仙在原業平と伊勢物語
1,歌仙在原業平 2,伊勢物語の成立 3,伊勢物語の展開
展示室6:伊勢物語の名所
展示室7:伊勢物語の意匠化と芸能化
1,留守模様とデザイン化 2,伊勢物語の芸能化
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■展示室1 ダイジェスト伊勢物語
全125段からなる伊勢物語の中から一般的にもよく知られた章段を15選び、各章段ごとに絵巻・色紙・かるた・合貝あわせがい・茶道具などで具象化された伊勢物語の世界が紹介されます。
重要文化財 三十六歌仙図額 在原業平像 1面 岩佐又兵衛筆 江戸時代・寛永17年(1640) 仙波東照宮蔵 (埼玉県立歴史と民俗の博物館寄託)
重要文化財 伊勢物語絵巻 第4段「西の対」部分 1巻 鎌倉時代・13 ~ 14世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵[展示期間:2/21 ~ 3/15]
伊勢物語芥川・武蔵野の図扇面 1面 江戸時代・17世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵
展示室2 伊賀耳付花入 銘業平
この花入は、『大正名器鑑』編纂の折に、関東にあった伊賀花入の名作5点が集められ「東あずま五人男」と呼ばれたうちの一つです。益田家から永坂町三井家八代三井高泰(号泰山)に伝わり、その後室町三井家十二代三井高大に譲られて、「業平」と銘が付けられました。
全体に変形(デフォルメ)が強く、無造作な耳が付き、自然釉が織りなす景色は、古伊賀花入の特徴で、千利休の弟子七哲の一人にあげられる古田織部(1544ー1615)の好みが反映されているとされます。利休的な規格を破った「破格の美」といわれ、利休亡きあとの茶の湯界をリードしました。
伊賀耳付花入 銘業平 1口 桃山時代・16 ~ 17世紀 三井記念美術館蔵
■展示室3 如庵 「能の業平」
如庵写しの茶室ケースでは、床に浮田一蕙うきたいっけい筆の武蔵野図を掛け、その前に重要文化財の能面中将(金剛頼勝作)を展示し、その傍らに能道具の冠り物(初冠ういこうぶり)と、折り畳んだ紫地業平菱模様長絹むらさきじなりひらびしもようちょうけんを展示します。
■展示室4 絵画化された伊勢物語
伊勢絵いせえ、すなわち伊勢物語を描いた絵の歴史は古く、かの『源氏物語』「絵合えあわせ」の帖にも登場することが知られています。ただし、それら平安時代のものは既に失われたとみられ、今日に伝存する作品はいずれも、鎌倉時代以降のものです。本章では中世の貴重な作品から、宗達そうたつに連なる尾形光琳おがたこうりんら、琳派の画家による美麗な伊勢絵に至るまで、様々な作品が紹介されます。
伊勢物語図色紙 第69段「君や来し」 1枚 南北朝~室町時代・ 14 ~ 15世紀 香雪美術館蔵 [展示期間:3/17 ~ 4/5]
重要文化財 蔦の細道図屏風 深江芦舟筆 6曲1隻 江戸時代・18世紀
東京国立博物館蔵(Image:TNM Image Archives)[展示期間:2/21 ~ 3/7]
伊勢物語図色紙 第82段1「渚の院の桜」 伝俵屋宗達筆 1幅 江戸時代・17世紀 個人蔵
このほか、いわゆる「宗達色紙」の伊勢絵や、尾形光琳の「業平東下り図」 (五島美術館蔵) [展示期間:2/21~3/15]、また酒井抱一、鈴木其一、中村芳中といった宗達・光琳の画風に私淑した画家の作品などが展示されます。
■展示室5
また、江戸時代における着物のデザイン集ともいえる雛形本ひながたぼんですが、当館には約80冊余りの雛形本があり、今回そのなかから伊勢物語に関するデザインのあるものが12冊初公開されます。
色絵竜田川図向付 5客 尾形乾山作 江戸時代・18世紀 大和文華館蔵
2,伊勢物語の芸能化
伊勢物語は芸能の世界でも採り上げられています。中将(鼻まがり)(図22)、小面こおもて(花の小面)、孫次郎まごじろう(ヲモカゲ)(図23)の名物面3面のほか、伊勢物語に関連する能装束、謡本、能絵かるたなど、能の世界での関係作品が展示されます。
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参考文献
「歌仙 在原業平と伊勢物語」・・・恋多き青年歌人、運命の平城天皇の第5皇子、在原業平の運命
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【城上皇の乱、810年】
「旧嵯峨御所大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画」・・・嵯峨天皇と空海、運命の美女
http://
「筆魂 線の引力・色の魔力─又兵衛から北斎・国芳まで─」・・・画狂老人卍『鳳凰図屏風』の思い出
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「開館20周年特別展 生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語」三井記念美術館、2月21日~4月5日













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