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2021年12月

2021年12月31日 (金)

2021年美術展ベスト10・・・旅する哲学者 美への旅

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』265回

人が本当に見ることができるのは心によってだけである。本質は、目で見えない。美しい夕暮れ、美しい魂に、幸運の女神が舞い降りる。美しい守護霊が救う。美しい魂は、輝く天の仕事を成就する。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
【本質の探求、美の本質の探求】
私は、哲学史、プラトン哲学を20年間、講義してきた。プラトン哲学の根源は、本質を探求すること、魂の美を探求すること、魂の不滅、生成消滅する自然界の彼方に存在するイデア、存在の彼方に在る善のイデア、正義、知恵ある王が統治する国家、人は何をなすべきか。哲学史、プラトン哲学、美学の探求を展開してきた。
【反乱と戦争の歴史】をみると、世界の本質が見える。
「聖徳太子と法隆寺」「最澄と天台宗のすべて」を分析すると、この国の文化の本質、権力闘争、王家の殺し合い見えてくる。
【復讐悲劇】ギリシア悲劇「タンタロス王家の悲劇」、セネカ『テュエステス』、シェイクスピア『ハムレット』、太田牛一『信長公記』、グレアム・アリソン『覇権国家と新興国家、覇権争い』、独裁国家と自由主義の戦いを見通すことができる。王位継承争い、権力闘争が国家の本質であり、天人と悪鬼羅刹の戦いである。
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
乱、変の歴史を考察すると、襲撃と暗殺、殺戮、物語の真相が見える。
【大王、権力の源泉、殺人】飛鳥、白鳳、天平、弘仁貞観
丁未の乱587年、物部守屋一族殺害、蘇我馬子と厩戸皇子。崇峻天皇暗殺592年、山背大兄皇子一族全滅643年、皇極天皇と軽皇子。乙巳の変645年、中大兄皇子と中臣鎌足、蘇我入鹿殺害。蘇我蝦夷自刃。壬申の乱672年、天智の弟、大海人皇子は大友皇子を死に追いつめ自刃。天武として即位。記紀編纂を命じる。『日本書紀』天武の壬申の乱を記せず。
東大寺大仏開眼供養、752年(天平勝宝4)4月9日、孝謙女帝、聖武太上天皇、光明皇太后。
孝謙女帝、天平勝宝9年(757年)橘奈良麻呂の変、764年(天平宝字8)9月恵美押勝(藤原仲麻呂)の乱。
桓武天皇、藤原種継射殺事件、早良親王謀反、延暦4年(785)9月24日、平城天皇、伊予親王謀反807年、
平城上皇の乱810年、平城と藤原薬子、嵯峨天皇に反乱。
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
1、
聖徳太子と法隆寺、#東京国立博物館 
https://bit.ly/3kVnJSX
聖徳太子と法隆寺、東京国立博物館・・・法隆寺の謎、厩戸皇子の謎
https://bit.ly/3yCIpDo
聖徳太子と法隆寺、東京国立博物館・・・美術史の謎、飛鳥、白鳳、天平
https://bit.ly/2XE6s7q
――
2、
「最澄と天台宗のすべて」1・・・比叡山延暦寺、最澄と空海
https://bit.ly/2XDvTGt
「最澄と天台宗のすべて」2・・・比叡山、嵯峨天皇、慈円、鎌倉仏教、織田信長、覚恕、天海
https://bit.ly/3EkHqKn
――
3、
「鳥獣戯画のすべて」#東京国立博物館
https://bit.ly/32XqQ2H 
4、
「国宝 聖林寺十一面観音」#東京国立博物館
https://bit.ly/3d1h6Kh 
――
5、
「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」・・・冨嶽三十六景46図と広重「名所江戸百景」
https://bit.ly/3uJ9eUs
6、
「筆魂 線の引力・色の魔力─又兵衛から北斎・国芳まで─」・・・画狂老人卍『鳳凰図屏風』の思い出
https://bit.ly/3sfpb35
――
7、
「あやしい絵展」#東京国立近代美術館
https://bit.ly/3w3onRE 
――
8、
ゴッホ展―響きあう魂 ヘレーネとフィンセント、東京都美術館
https://bit.ly/2W3o6RF
9、
「テート美術館所蔵 コンスタブル展」#三菱一号館美術館
https://bit.ly/37TI8ke
――
10、
イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜・・・水辺の風景、光あふれる田園、陽光の効果
https://bit.ly/3lBauGS
「聖徳太子 日出づる処の天子」・・・四天王寺『聖徳太子絵伝』、聖徳太子伝説
https://bit.ly/3sit9Lv
「ユージーン・スタジオ 新しい海」・・・善悪の荒野、善悪の彼岸
https://bit.ly/3suGTmE
大地のハンター展、陸の上にも4億年・・・百獣の王、食物連鎖の頂点に立つ者
https://bit.ly/3bQ6ihX
三菱の至宝展、三菱一号館美術館
https://bit.ly/3yzJMSK 
小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌・・・旅路の果て、戦争の果て、人生の果て
https://bit.ly/3HvP8nu
没後70年 吉田博展・・・月光の桜、光る海
https://bit.ly/2L3sYAL
渡辺省亭展、欧米を魅了した花鳥画、藝大美術館・・・花の盛りを過ぎ、風が吹き、花びらが零れ落ちる「牡丹に蝶の図」
https://bit.ly/2R3hJed
ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス ・・・印象派からエコール・ド・パリ
https://bit.ly/3B9SF7l
大江戸の華、江戸東京博物館・・・老獪な策士、徳川家康。緻密な戦略、徳川慶喜
https://bit.ly/3xCUAQ9
鈴木其一・夏秋渓流図屏風・・・樹林を流れる群青色の渓流、百合の花と蝉、桜の紅葉
https://bit.ly/2ZCzN3x
「民藝の100年」、東京国立近代美術館・・・「白樺」とアーツ・アンド・クラフツ
https://bit.ly/3q0QG0R
「筆魂 線の引力・色の魔力─又兵衛から北斎・国芳まで─」・・・画狂老人卍『鳳凰図屏風』の思い出
https://bit.ly/3sfpb35
古代エジプト展、美しき棺のメッセージ、Bunkamuraザ・ミュージアム、
フィンランドデザイン展、Bunkamuraザ・ミュージアム、
ファッション・イン・ジャパン1945-2020、国立新美術館
百花繚乱、華麗なる花の世界、山種美術館
速水御舟と吉田義彦、師弟による超絶技巧の競演、山種美術館
「縄文2021―東京に生きた縄文人―」江戸東京博物館
クールベと海、フランス近代―自然へのまなざし、パナソニック汐留美術館
庵野秀明展、国立新美術館、2021年10月1日~12月19日
「忘れられた江戸絵画史の本流」静岡県立美術館、5月22日~6月27日
――
理念を探求する精神、エンペドクレス・・・古代ギリシアの理想、知恵、勇気、節制、正義は、なぜ失われたのか
https://bit.ly/3sIf3RW
大久保 正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲学史 理性の微笑み』 理想社
https://bit.ly/3qv01OA
2020美術展ベスト10・・・旅する哲学者 美への旅
https://bit.ly/34YoO3Q
美術館スケジュール2021年・・・旅する哲学者、美への旅
https://bit.ly/3ns2g1O
2021 長楽萬年 蘇る不滅の精神
https://bit.ly/2LctVpS
2021美術展ベスト10・・・旅する哲学者 美への旅
https://bit.ly/33XYx7Z

2021年12月25日 (土)

「ユージーン・スタジオ 新しい海」・・・善悪の荒野、善悪の彼岸

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』264回

【善悪の荒野】この作品を見ると哲学書を思い出す。古代ギリシアの哲学者の詩編。真言密教の書。
『善悪の彼岸』を思い出す。善悪の彼岸にあるのは、何か。善悪の彼岸にあるのは愛である。生命を生み出すものは根源的な愛である。
【愛と憎しみの彼方】憎しみの彼方にあるのは何か。永劫回帰の彼方にあるのは何か。生成消滅の宇宙円環、魂の宇宙円環の彼方にあるのは何か。永劫回帰の彼方にあるものは何か。智慧である。エンペドクレス『自然』『浄化』。
【不滅の愛】不滅の愛は何か。滅びない愛とは何か。永く続く愛は何か。最も長く続く愛は、報われない愛である。美への憧れ、エロスである。運命の人にめぐり会う。プラトン『饗宴』
【美の彼方】美の海原の彼方にあるのは何か。魂の美である。【美の階梯を登る方法】美の階梯がある。美の階梯は、どう昇るのか。魂の美の階梯。プラトン『饗宴』
【生死の彼岸】菩薩、菩提心をもつ者は、生死を超えて修行僧となり、智慧に到達する。生死の彼岸、智慧に到達するものは如来である。【人智を超えた存在】大日如来に到達する道は、金剛界曼荼羅、胎蔵界曼荼羅に描かれている。
【愛染明王真言】大愛染尊よ 金剛仏頂尊よ 金剛薩埵よ 衆生を四種に摂取したまえ)oM ma hA raga vajro SHI Sa va jra satva jaH+jaH hUM vaM hoH
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
【善悪の彼岸】愛からなされることは、いつも善悪の彼岸でおこる。『善悪の彼岸』第4章「箴言と間奏曲」153。
怪物と戦う者は、自ら怪物にならぬよう用心したほうがいい。あなたが長く深淵を覗いていると、深淵もまたあなたを覗き込む。『善悪の彼岸』146
大海のなかで渇き死にするというのは、恐るべきことだ。ところでお前らも、真理がもはや決して――渇きを癒すことがないほどに、お前らの真理を塩辛くしようとするのか?『善悪の彼岸』
「善と悪は無い。考えがそれを作るのだ」There is nothing either good or bad, but thinking makes it so.『ハムレット』第2幕第2場
「人生のさかりには、無理と思われるものもすべて叶い、覚束(おぼつか)なく見えるものもすべて成るのだよ。」三島由紀夫
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
展示作品の一部
《善悪の荒野》(2017)
《善悪の荒野》(2017)はガラス張りで仕切られた空間に、風化し、破壊され朽ち果てた家具が並ぶ作品。スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』(1968)に触発された本作は、映画終盤のシーンに現れる、人智を超えた存在であるモノリスに主人公が導かれる部屋を原寸大で再現、破壊、焼失させたオブジェで構成されたインスタレーション。
「廃墟や遺産もまた、どこかに存在し続ける」。作家は現代社会において地続きのものとしての「どこか」である未来について想起させること意図している。
映画の終盤に現れる部屋を原寸大で再現し、破壊・消失させたオブジェで構成したインスタレーション。寒川は2017年当時、人類誕生以前と未来を描いた映画の物語を破壊することで、人々の未来を再度想起させるきっかけを与えようとしたという。
《ゴールドレイン》(2019)
暗がりのなか、金箔と銀箔の粒子が上から降り注ぐ《ゴールドレイン》(2019)は、鑑賞者に重力や時間についての思考をうながす作品。連綿と可変し続けるその運動は、より壮大な時間を見るものを想起させる。
――
ユージーン・スタジオ《善悪の荒野》(2017)
ユージーン・スタジオ《ゴールドレイン》(2019)
ユージーン・スタジオ 《海庭》(2021)
ユージーン・スタジオ《あるスポーツ史家の部屋と夢 #連弾》(2014)
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参考文献
『ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow』東京都現代美術館、2021
プレスリリース
理念を探求する精神、エンペドクレス・・・古代ギリシアの理想、知恵、勇気、節制、正義は、なぜ失われたのか
https://bit.ly/3sIf3RW

「ユージーン・スタジオ 新しい海」・・・善悪の荒野、善悪の彼岸
https://bit.ly/3suGTmE
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EUGENE STUDIO(ユージーン・スタジオ)は寒川裕人(1989年アメリカ生まれ)による日本を拠点とするアーティストスタジオで、平成生まれの作家としては当館初となる個展です。
「89+」展(2014年、サーペンタイン・ギャラリー、ロンドン)における作品提供や、個展「THE EUGENE Studio 1/2 Century later.」(2017年、資生堂ギャラリー)、「資生堂ギャラリー100周年記念展」(2018-2019年)や「de-sport」展(2020年、金沢21世紀美術館)への参加など、国内外の作品発表において高い評価を得ています。さらに、アメリカを代表する現代SF小説家ケン・リュウとの共同制作、完全な暗闇で能のインスタレーション「漆黒能」(2019年、国立新美術館)、2021年にはアメリカで発表した短編映画がパンアフリカン映画祭などのアカデミー賞公認の国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出されるなど、自由な発想の幅広い活躍に国際的な注目が集まっています。
本展覧会は、平面作品から大型インスタレーション、映像作品、彫刻作品等で構成され、代表作〈ホワイトペインティング〉シリーズ(2017年-)や《善悪の荒野》(2017年)から最新作までを一堂に会し、ユージーン・スタジオの多岐にわたる活動に通底する視点や発想、哲学を紐解くものです。個人的な関心から美術史、過去の事象や文明などの主題を並列に昇華させた作品群は、単なる二次元的なヴィジョンではなく、社会の環境や循環の中で生きる私達の存在を起ち上がらせます。歴史の転換点ともいうべき現在、批判や皮肉から立脚する表現ではなく、現実を見据えて未来へと漕ぎ出すための叡智を喚起させる作品群をぜひご高覧ください。
東京都現代美術館
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/the-eugene-studio
――
ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow
会期:2021年11月20日~2022年2月23日
会場:東京都現代美術館 企画展示室地下2階

2021年12月19日 (日)

「聖徳太子 日出づる処の天子」・・・四天王寺『聖徳太子絵伝』、聖徳太子伝説の虚構

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』263回

聖徳太子は、思想家か、指揮官か、番人か、官僚か、探検隊か、聖人か、権力者であるか。河内国渋川郡の物部守屋の館襲撃、斑鳩宮山背大兄王殺害、飛鳥板葺宮にて蘇我入鹿殺害、近江宮大友王子を、美濃国不破関にて破る。乱の歴史が蘇る。
【丁未の乱から壬申の乱】丁未の乱、乙巳の変、山背大兄王一族殺害、壬申の乱、殺人が権力の源泉である。仏教は権力の神聖化の手段として利用された。暴力を仏教で神聖化し糊塗した。天皇制の本質は、殺人暴力と階級社会である。聖徳太子は権力者であり、最澄は官度僧、官僚である。空海は沙門、私度僧、思想家であり、指揮官である。
【理念を追求する精神】理念を探求する人は、邪知暴虐な権力と戦い、この世の闇の彼方に理想と美を求める。輝く天の仕事を成し遂げる。空海、孔子、織田信長、李白、プラトン。即身成仏、仁義礼智信、武の七徳、桃花流水杳然去、美の海の彼方の美のイデア、存在の彼方の善のイデア。
理念を探求する精神は、邪知暴虐と対峙し、悪鬼と戦う。価値あることを為すには、犠牲と苦労と忍耐が必要である。
【理念を追求する精神】空海は理念を探求して旅した。空海の24歳の苦悩は『聾瞽指帰』に刻まれている。空海、ロレンツォ・デ・メディチ、プラトン、玄奘三蔵、李白、王羲之、嵯峨天皇、ソクラテス、理念に向かって、旅した人。理念を追求する人は、この世の闇の彼方に美を求める。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
【思考と言葉と運命】心は思考となり、思考は言葉となり、言葉は思想となり、思想は行動となり、行動は習慣となり、習慣は性格となり、性格は運命となる。人生の目的は、人格を磨くことである。
【ルネサンス復讐悲劇】復讐悲劇の先駆、ストア派哲学者セネカ『テュエステス』が起源である。復讐悲劇を定義。1、人に知られない殺人、通常、悪人が善人の統治者を殺す。2、犠牲者の亡霊が若い親類、主に息子のところに訪れる。3、殺人者と復讐者が互いに対し偽装と策略。4、復讐者または支援者が本当のあるいは偽りの狂気に陥る。5、最後にバイオレンスの爆発。ルネサンス期は嘘の仮面劇や祭で起こる。6、復讐者を含め登場人物の多くが死ぬカタストロフ。
【人生は舞台。人はみな大根役者】慢心は人間最大の敵だ。運命をはねつけ、死を嘲り、野望のみを抱き、知恵も恩恵も恐怖も忘れてしまう。シェイクスピア『マクベス』
人生は舞台。人はみな大根役者。消えろ、消えろ、つかのまの燭火、人生は歩いている影にすぎぬ。人生は歩きまわる影法師、あわれな役者だ。『マクベス』
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
【『聖徳太子絵伝』四天王寺】母妃、夢に黄金の僧を見て懐妊。母妃、厩前で産気に気づき太子を出産する。2歳太子、東に向かって合掌し「南無仏」と唱える。11歳子供たちと遊び、超人的能力を発揮する。12歳、百済より帰国した高僧・日羅が大使を救世観音と見抜き、礼拝する。16歳、蘇我馬子、物部守屋と戦い蘇我軍として参戦、四天王像を彫って戦勝を祈願する。16歳、蘇我軍を大勝に導く。19歳、天皇の前で戴冠し、群臣が称賛する。22歳、四天王寺創建する。27歳、甲斐の国から太子の愛馬となる黒駒を献上される。27歳、黒駒に乗り富士山に登る。34歳、仏師鞍作登利に仏像を作らせる。35歳、推古天皇の求めに応じて『勝鬘満経』を講義すると蓮華が降る。36歳、太子は遣隋使として派遣される小野妹子に前世で所持していた経典を持ち帰るように命じる。37歳、妹子が持ち帰った経典は違うものだった、太子は夢殿に籠り瞑想する。37歳、夢殿から魂を青龍車に乗せ自ら隋の衡山へ経典を取りに行く。40歳、狩猟を楽しむ推古天皇に殺生を戒める。41歳、百済の未摩子が伎楽を伝える。48歳、人形が献上され禍の前兆と考えられる。49歳、天に赤気が現れ百済僧が太子の一族・上宮王家滅亡を予言する。50歳、太子薨去する。薨去の年、河内の磯長廟へ葬送される。『聖徳太子絵伝』には66のエピソードが描かれている。
【聖徳太子伝説】『日本書紀』
養老4年(720)に成立した『日本書紀』によれば「母が宮中の厩の戸にあたった時に安産で生まれた。生まれながら言葉を話すことができ、聖人の智を持っていた。耳がよく、成人後は十人の訴えを聞き分けた。未来のことを予言できた。父の用明天皇に寵愛され、幼少期は特別に上宮とよばれる宮殿に住まわされた。」
『日本書紀』よりも8年前に成った『古事記』には超人伝説はみられない。
【聖徳太子の正式な名前、上宮厩戸豊聡耳太子】
「上宮」とは、太子が壮年以降に営んだ斑鳩宮であり、これが太子のむすこの山背大兄王に相続された後に上宮とよばれるようになった。斑鳩宮は実際には太子の父・用明の没後に造営された。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
展示作品の一部
重要文化財『聖徳太子絵伝』 第1幅~6幅、遠江法橋筆 鎌倉時代、元亨3年(1323)大阪・四天王寺
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参考文献
聖徳太子と法隆寺、東京国立博物館・・・世間虚仮。唯仏是真
https://bit.ly/3kVnJSX
聖徳太子と法隆寺、東京国立博物館・・・法隆寺の謎、厩戸皇子の謎
https://bit.ly/3yCIpDo
聖徳太子と法隆寺、東京国立博物館・・・美術史の謎、飛鳥、白鳳、天平
https://bit.ly/2XE6s7q
理念を探求する精神、エンペドクレス・・・古代ギリシアの理想、知恵、勇気、節制、正義は、なぜ失われたのか
https://bit.ly/3sIf3RW

「聖徳太子 日出づる処の天子」・・・四天王寺『聖徳太子絵伝』、聖徳太子伝説の虚構
https://bit.ly/3sit9Lv
――
令和4年(2022)、聖徳太子(574~622)が没して1400年を迎えます。聖徳太子ゆかりの寺院では、聖霊会をはじめ太子の偉業を偲ぶ大規模な法会が催されます。このような100年に一度の節目にあわせて、太子の生涯をたどり、没後の太子信仰の広がりを紹介する展覧会です。
用明天皇の皇子として生まれた聖徳太子は、推古天皇の摂政として十七条憲法の制定や遣隋使の派遣など国家体制の確立に大きく貢献したことで知られます。さらに、大阪・四天王寺や奈良・法隆寺の創建に代表されるように仏教を篤く信奉し、現在まで続く日本仏教の礎を築きました。
現在でも、その名を知らない人がいない聖徳太子ですが、最澄や親鸞をはじめとする日本仏教諸宗の名だたる開祖・祖師は、なぜ太子を篤く尊んだのでしょうか。太子ゆかりの寺院は、なぜ1400年もの長きにわたり参詣が絶えないのでしょうか。
本展覧会では、こうした聖徳太子にまつわる問いを解くべく、太子信仰の中核を担ってきた大阪・四天王寺の所蔵品を中心に、太子にかかわる美術の全貌を紹介します。
千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」サントリー美術館
【「聖徳太子絵伝」で読み解く太子の生涯】
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2021_4/index.html
――
サントリー美術館 開館60周年記念展「千四百年御聖忌記念特別展 聖徳太子 日出づる処の天子」、サントリー美術館、2121年11月17日~2022年1月10日

2021年12月16日 (木)

柳宗悦没後60年「民藝の100年」・・・「白樺」と「アーツ・アンド・クラフツ」

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』262回

松本民芸家具、北海道民芸家具、仙台家具、シェーカー家具の椅子を数十年使っている。家の南の部屋に東寺観智院「五大虚空蔵菩薩の護符」がある。木仙作「神の除魔木でこ」が守る書庫の片隅に、鎌田幸二 作 油滴天目茶碗、バカラのアルクール・ワイングラス、江戸切子、京都たち吉の志野焼茶碗がある。ウィリアム・モリス「アーツ・アンド・クラフツ」、『地上の楽園』『世界のはての泉』を思い出す。
「民藝」とは「民衆的工芸」の略語である。柳宗悦、濱田庄司、河井寬次郎、バーナード・リーチ、芹沢銈介、富本憲吉らは、無名の職人による暮らしに息づく道具類を「民藝」と名付け、そこに美を見出した。
■「白樺」、東と西が出会う場所
宗教哲学者、柳宗悦(1889-1961)は、詩人ウィリアム・ブレイク研究に情熱を注ぎ、1904年研究書を出版した。
1910年、柳宗悦は「白樺」に参加する。「宗教家としてのロダン」を発表。「白樺」同人たちが、我孫子に移住した背景には、アーツ・アンド・クラフツがある。1919年、富本憲吉が柳宗悦邸内のバーナード・リーチ陶房を訪ねてやってきた。「白樺」の核となる出版と展覧会活動、ミュージアム構想が触媒となり、人的ネットワークが数珠つなぎに形成される。図録「民藝の100年」P24。
民藝の樹 民藝の三つの柱 ミュージアム、生産と流通、出版。
■「アーツ&クラフツ」ウィリアム・モリス
デザイナーで思想家、詩人ウィリアム・モリス(1834-96)は、ラファエル前派のD.G.ロセッティやエドワード・バーン=ジョーンズらが参加したモリス・マーシャル・フォークナー商会(のちにモリス商会)を中心に、装飾芸術をめぐって活発な活動をロンドンで繰り広げた。1887年には運動の名称ともなったアーツ&クラフツ展協会が創設された。ザイン運動「アーツ&クラフツ」は、産業化・工業化が進む時代を背景に、失われた手仕事の良さを見直し、自然や伝統に美を再発見する。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
参考文献
図録「民藝の100年」2021
「生活と芸術 アーツ&クラフツ展」ウイリアム・モリスから民芸まで・・・いちご泥棒、Morris,Strawberry Thief
https://bit.ly/3DVSAEN
「ザ・フィンランドデザイン 自然が宿るライフスタイル」2021
「生活と芸術 アーツ&クラフツ展」ウイリアム・モリスから民芸まで、東京都美術館2009
「民藝の100年」・・・「白樺」とアーツ・アンド・クラフツ
https://bit.ly/3q0QG0R
――
「民藝を柳の思想の結晶と見るのではなく、近代の実践的な活動として3つの手法でとらえなおす」と、担当の花井久穂学芸員は説明する。
3つの手法とは、民藝をモダンな文脈の中で生まれたものとして「近代100年」という歴史の中で位置づける、ローカルなネットワークと共に展開した社会運動としてとらえること、そして「出版」「美術館」「流通」と3つのメディアを駆使した「編集」の手法に注目することである。
民藝運動の3つの柱「ミュージアム/出版/生産-流通(ショップ)」を図示したデザイン。雑誌『月刊民藝』創刊号の最初のページに掲載された。メディアを駆使して布教する民藝同人たちの手法は、今でも学べることがある。
新しい美の概念を表す言葉「民藝」が作られてから約100年。単なる言葉やモノだけでは100年続く概念にはなり得ません。そこには巧なメディア戦略と地方の人・モノ・情報をつないだローカルなネットワークがあった。
「国家、近代、美術館」と対立する「地方、前近代、民藝」を提唱する柳宗悦没後60年、の展示である。
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/mingei100/
――
柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」東京国立近代美術館、2021年10月26日(火)~2022年2月13日(日)

2021年12月 4日 (土)

イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜・・・水辺の風景、光あふれる田園、陽光の効果

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』261回

【水のある風景画の系譜】印象派に先駆ける人々、バルビゾン派のカミーユ・コロー「川沿いの町、ヴィル・ダヴレー」、レアリスム宣言したギュスターヴ・クールベ「海景色」、フランソワ・ドーヴィニー、海景画家ウジェーヌ・ブーダンは、印象派へとへと展開する先駆である。パリ近郊セーヌ川沿岸での生活風景、波の荒いノルマンディーの海岸の断崖、水面の反映、繊細な表情、鋭い観察眼で叙情的に描いた。
カミーユ・ピサロの描く、光あふれる田園、陽光の効果、日没は、黄金色の幸福な世界が垣間見える。ピサロはカリブ海セント・トーマス島に生まれ1903年パリにて73歳で死す。印象派はリアリズムの世界である。
印象派が追求するのは、見える世界である。印象派に対抗したのは、象徴派、幻想派、超現実主義、ギュスターヴ・モロー、オディロン・ルドンである。
第1回印象派展、1874年モネらによって開催された。第8回1886年まで、全回、参加したのはカミーユ・ピサロだけである。ドガは気難しく友人は少なかった。
モネ43歳、ジベルニーに庭を作り、隠棲。睡蓮、等、描き続ける。モネ「睡蓮:水の風景連作、48点」(1903年から1908年)。晩年のモネは、印象派を超えて、アンチリアリズムの世紀へ迷い込んだ。1907年、相対性理論、1913年プルースト「失われた時を求めて」。
画家は悲惨な人生と引き換えに傑作を生みだす。「この世界という広大な劇場は、我々が演じている場面よりもっと悲惨な見世物を見せてくれる」。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
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【藝術家と運命との戦い】画家は、普通の幸せを手に入れるのは幻想である。天才たちでも不可能である。画家は悲惨な人生と引き換えに傑作を生みだす。富豪画家は、ルノワールのみであり、アリーヌと結婚後、世界的成功を収めた。リュウーマチの苦痛に苦しみ、薔薇色の女たちを描き、亡き妻の思い出に生きる。78歳で死す。クロード・モネは、1875年7月、カミーユは不治の病結核にかかり、32歳の若さで死ぬ、モネ39歳。カミーユの死後、人物は描かなかった。ジヴェルニーの庭に籠り、晩年の風景画を描く。「睡蓮」連作は生前、評価されず。ジヴェルニーにて86歳で死す。
ゴッホ、ゴーギャンは、破滅型。ゴッホは37歳で拳銃自殺。ゴーギャンは株式仲買人を辞めて画家になりブルターニュに行きアルルでゴッホと破綻、タヒチからブルターニュに帰り再びタヒチに行き54歳で死す。ジョルジュ・スーラは、早熟な天才、点描画法を生み出したが夭折、32歳で死す。秘密主義で死因も不明。マネ、セザンヌ、親が銀行家で金持ち、だが不幸だった。セザンヌは、妻オルタンスを従順なモデルとして肖像画に描き、67歳でプロヴァンスに死す。
「不幸せなのは我々だけではないようだ。この世界という広大な劇場は、我々が演じている場面よりもっと悲惨な見世物を見せてくれる」『お気に召すまま』
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【ゴッホとゴーギャン、破局の物語】ゴーギャン「ひまわりを見ると、君を想い出す」タヒチにて。ゴッホ「君のために、椅子を買った」。1887年出会う。1888年アルルでぶつかり合い すれ違う、ゴッホはなぜ「ひまわり」を描いたのか。耳切事件、なぜ耳を切ったのか。ゴッホはハーグ派、バルビゾン派を経て印象派へ。「宗教は廃れ、神は残る」。1990年自殺。ゴーギャンは株式仲買人を辞めバルビゾン派からピサロの影響で印象派へ。ゴーギャンはテオの資金目当てでアルルへ行く、2ヶ月でゴッホと破局。ゴッホの弟テオは、ゴッホの死後、半年で死ぬ。作品は、テオの妻に託される。ヘレーネ・クレラーミュラーはテオの遺族から購入した。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
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参考文献
ゴッホ展―響きあう魂 ヘレーネとフィンセント・・・糸杉と星の道、種をまく人
https://bit.ly/2W3o6RF
ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス ・・・印象派からエコール・ド・パリ
https://bit.ly/3B9SF7l
イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜・・・水辺の風景、光あふれる田園、陽光の効果
https://bit.ly/3lBauGS
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展示作品の一部
カミーユ・コロー「川沿いの町、ヴィル・ダヴレー」1856
ギュスターヴ・クールベ「海景色」1869
ウジェーヌ・ブーダン《港に近づくフリゲート艦》1894年
クロード・モネ《睡蓮の池》1907年
カミーユ・ピサロ《エラニーの日没》1890年
カミーユ・ピサロ《朝、陽光の効果、エラニー》1899年
レッサー・ユリィ《冬のベルリン》、《雨のポツダム広場》1920年代半ば
レッサー・ユリィ《風景》 1900年頃 油彩/カンヴァス 101.5 × 71.0 cm
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レッサー・ユリィ《夜のポツダム広場》
1920年代半ば、油彩/カンヴァス、79.6 x 100.0 cm、イスラエル博物館蔵 
Photo コピーライト The Israel Museum, Jerusalem by Avshalom Avital
レッサー・ユリィは旧プロセインのポーゼン(現ポーランドのポズナン)近郊の小さな村に生まれた。早くに父を失い、母と二人の兄弟と一緒にベルリンに出てきたのが11歳の時だった。1879年からデュッセルドルフのアカデミーで絵を学び、1887年にベルリンに戻るまでにブリュッセル、パリ、シュトゥットガルトなどの都市で研鑽を積んだ。パリではボナに師事した。美術史上はドイツ印象派として位置づけられているが、作風は時代によって変遷し、多様だ。
当時のドイツ画壇の巨匠、マックス・リーバーマン(1847~1935)の作品の光の効果は、実はユリィが描いたなどと発言したことで疎遠になり、評価の機会を逸したという。生活に困窮し、気難しい性格で「人間嫌い」と評され、私生活も恵まれなかったという。1922年、60歳になって開催した大規模な展覧会でようやくその名声は揺るぎないもになり、油彩のほか、パステル作品も人気を集めた。
1926年に発表された同作は数年後、ベルリンのユダヤ人団体の美術品コレクションに収蔵された。このコレクションをもとに1933年、ベルリンにユダヤ博物館が設立されるが、同年に成立したナチス・ドイツによる弾圧で、同博物館は1938年に閉鎖の憂き目に遭い、《夜のポツダム広場》も他の作品とともに没収された。そして終戦後の1945年、あのゲッベルスが総裁を務めた旧帝国文化院の地下室で再発見。やがてベルリンのユダヤ人返還継承組織を通じて、エルサレムの美術館に送られた。最終的に1965年に開館したイスラエル博物館に収蔵。@art_ex_japanより
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イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜ーモネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン
三菱一号館美術館、2021年10月15日(金)~2022年1月16日(日)
https://mimt.jp/
あべのハルカス美術館、2022年1月28日(金)~ 4月3日(日)

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