ベルリン・エジプト博物館所蔵「古代エジプト展 天地創造の神話」・・・絶世の美女ネフェルティティ王妃とアマルナ美術の謎
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』230回
東欧の世界遺産をめぐる旅に行った時、ベルリン博物館を訪れた夏の日を思い出す。
近藤二郎先生の案内で、エジプト博物館の作品をみる。エジプトの謎が蘇る。なぜハトシェプスト (トトメス2世王妃) は、ひげをつけ男装して女王となったのか。【アマルナ美術の謎】アクエンアテン王の異様な容貌と姿は何故か。ネフェルティティ王妃はどこからきたのか。ツタンカーメンの母はだれか。ツタンカーメンはなぜ18歳で死んだのか。なぜアメンホテプ4世はアテン神を導入したのか。アメン神もアテン神も太陽神、どう違うのか。『死者の書』30章の呪文はどう導くのか。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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エジプトの宗教センターは、4か所、ヘリオポリス、メンフィス、ヘルモポリス、テーベ。ヘルモポリスとヘルモポリスは2大宗教都市。
【神々の系譜 9柱神】ヘリオポリスの創生神話
混沌ヌンから創造神アトゥムが生まれ、アトゥムから大気神シュウと湿気女神テフヌウトが生まれ、シュウとテフヌウトから大地ゲブと天空女神ヌフトが生まれ、ゲブとヌフトからオシリスとイシスとセトとネフティスが生まれ、オシリスとイシスからホルスが生まれ、オシリスとネフティスからアヌビスが生まれた。冥界王オシリスと母なる女神イシスから生まれたホルスはファラオとなる。
【冥界王オシリス神】オシリスは、弟セトに殺されバラバラにされるが、妻イシスの呪力によって復活を果たす。息子ホルスがセトに勝利し、地上の王として君臨する。
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【エジプト王朝、3大美女】ネフェルティティ、アメンホテプ4世の王妃。第18王朝。「美しき者来りぬ」。ネフェルタリ、ラムセス2世の第一王妃、8人の妃の中で最も美貌、若くして死す。第19王朝。クレオパトラ7世39歳。紀元前30年。権力者が手に入れられない4つの秘宝がある。
【エジプトの謎、ネフェルティティ(NeFeRTiTi)】【アマルナ革命、アメンからアテンへ】アクエンアテン(aKH-eN-aToN)王=アメンホテプ4世。王妃ネフェルティティ、アケトアテン(エル・テル・アマルナ)へ遷都。アメン神官、官僚たちが反撥。革命挫折。ツタンカーメン=トゥト・アンク・アメン(Tut-ankh-amen) (アメン神の生きた似姿)、再びテーベへ復帰。
【ツタンカーメン(Tut-ankh-amen)】紀元前1356年頃、生まれ1324年死す。古代エジプト文明、最盛期といわれる第18王朝、第11代の王。9才にして王となったが18才の若さにして亡くなった。ネフェルテイティ王妃が自身の3女をツタンカーメンと結婚させたのは、ツタンカーメンが王アクエンアテンの血を引く息子だからである。ネフェルティティ は、エジプト新王国時代の第18王朝のファラオであったアクエンアテンの正妃であり、ファラオ、トゥト・アンク・アメン(Tut-ankh-amen)の義母。
【ネフェルティティの娘、アンケセナーメン(Ankhesenamen)】ツタンカーメンと婚姻。*ファラオ・アクエンアテンと正妃ネフェルティティの三女であり、ファラオ・ツタンカーメンの妻。ツタンカーメンの母はだれか。
【ラムセス2世】生涯に8人の正妃、及び多くの側室を娶り、100人以上の子をもうけた。67年間王位につく。第19王朝。ネフェルタリ、ラムセス2世の第一王妃、8人の妃の中で最も美貌、若くして死す。在位、前1279-1213年。治世62年目、92歳薨去。絶対権力者が手に入れられない4つの秘宝がある。
【古代エジプトの4大美女】ハトシェプスト女王(トトメス2世王妃)、ネフェルティティ(アクエンアテン王妃)、ネフェルタリ(ラムセス2世王妃)、クレオパトラ7世(プトレマイオス15世、カエサリオン母)。エジプト文化の最高の瞬間に立つ。
【ハトシャプスト女王、夫はトトメス2世】ハトシェプストの意味は「最も高貴なる女性」。ハトシェプスト女王(トトメス2世王妃)は、二重統治、禁じ手の女王となった。付け髭をつけて男装。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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アマルナ改革
【アメンホテプ4世(Amenhotep IV、紀元前1362年? - 紀元前1333年?) 】彼の行った改革は、アマルナ改革として有名である。アテン神(Aten)を崇拝し、治世5年目(前1367年ごろ)にアテン信仰の導入を始めたが、まだ伝統的な神々への崇拝を禁止しなかった。
即位5年目に名前をアクエンアテン(Akhenaten)に改名、即位7年目に首都をテーベから、アトン神へ捧げる首都アケトアテン(Achetaten)(アマルナ)を建設。王朝発祥の地テーベ(Θῆβαι, Thēbai)を放棄し、遷都した。
即位9年目に入ると、アメンホテプⅣ世は旧来のエジプトの神々を排斥し、アテンが唯一の神であると宗教改革を推し進めた。アメン・ラーの力に対抗する王の試みの一つであった。
アメン(Amen、アモン(Ammon)、アムン(Amun)(テーベの町の守護神)を祭る神官勢力が王を抑えるほどの強い勢力になったことをアメンホテプ4世が嫌い、宗教的権力を王権と一本化することを狙った。アメンホテプ4世自身がアトンを称える詩を執筆している。
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展示作品の一部
「ネフェルティティ王妃」ベルリン博物館、BC1351‐1334
「アクエンアテン王頭部、レリーフ断片」ベルリン博物館、BC1351‐1334
「アクエンアテン王とネフェルティティ王妃、ステラ断片」ベルリン博物館、BC1351‐1334
「ハトシェプスト女王(トトメス2世王妃)のスフィンクス像」ベルリン博物館、BC1479‐1458
「ホルス神に授乳する女神イシス」BC664‐525
「セクメト女神座像」BC1388‐1351
「タレメチェンバステトの『死者の書』」BC332‐246
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ベルリン国立博物館群のエジプト博物館
ベルリン国立博物館群は、ドイツの首都・ベルリンに流れるシュプレー川に浮かぶ「博物館島」にある5つの博物館を中核とする総合博物館群です。プロイセン王国歴代のコレクションを礎とし、先史時代から現代にいたるまで、世界的な規模と質を誇るコレクションを擁しています。
さらに、第二次世界大戦や東西ドイツ分裂の時期を経て、1999年には「博物館島」全体がユネスコの世界文化遺産に登録され、2000年代からは各博物館の改築やコレクションの整理が急ピッチで進められています。
エジプト博物館は、「博物館島」にある5つの博物館のうち、2009年に改修を終えた「新博物館」内にあり、世界で最も有名な女性像の一つとして知られる「ネフェルトイティ(ネフェルティティ)の胸像」を所蔵している博物館として有名です。
紀元前3000年頃の動物の彫像から、古代エジプトに終焉を告げたローマ皇帝の肖像まで、壮大なエジプト史を網羅する同館のコレクションは、17世紀のブランデンブルク選帝侯の所蔵品を発端とし、その後のプロイセン王が主導した発掘や購入により、世界有数のエジプトコレクションとなりました。とりわけ、宗教改革によって個性的な芸術が生まれたアマルナ時代の充実した所蔵品と6万点にものぼるパピルス・コレクションは必見です。
展示構成
第1章 天地創造と神々の世界
「天地創造と終焉の物語」世界の始まりは混沌とした原初の海「ヌン」であった。
その海から、すべてのものが生まれ、育まれた。しかし、世界の終わりがやってくると、すべてのものは再び原初の海へ飲み込まれていく。
古代エジプト社会においては、全知全能の神々の力によって、空や雲、砂漠、風などの自然や、人間や獣、昆虫などの生物、太陽や月、星ぼしに至るまで、この世の全てが創造されたと考えられていました。原初の海「ヌン」と呼ばれる暗闇が支配する混沌とした状態から神々の意思により秩序ある世界が創造されたのです。古代エジプト人は、この秩序をマアトと呼びました。この章では、神々の姿や、神々が創った森羅万象を見ていきます。
第2章 ファラオと宇宙の秩序
宇宙の全体を支配する秩序・摂理(マアト)は、絶対であり、個々の人間が遵守すべき最も重要な規範・道徳としても考えられていました。人間社会のリーダーであるファラオは、社会の中でマアトを守り、実行する最高責任者でした。異民族の侵入やファラオに対する謀反といったようなマアトを揺るがす大きな事件に対しては、「善き神」であるファラオ自身が、強いリーダーシップをもってマアトを実践していくことが必要とされていたのです。
第3章 死後の審判
死者は、墓地の守護神でミイラ作りの神でもあるジャッカルの頭をしたアヌビスにより、「二つのマアト(正義)の広間」に導かれます。ここで死者の審判が行われ、死者の心臓は天秤ばかりにかけられ、マアトを象徴する羽根と釣り合うか計られます。古代エジプト人は考えたり思ったりする器官は脳ではなく心臓だと考えていました。 江戸東京博物館
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参考文献
近藤二郎「エジプト美術、世界一周 芸術新潮2009年9」
「国立ベルリン・エジプト博物館 古代エジプト展 天地創造の神話」図録
ツタンカーメン、黄金の秘宝と少年王の真実・・・少年王の愛と苦悩
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クレオパトラとエジプトの王妃展・・・生と死の秘密、時の迷宮への旅
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石浦章一「ツタンカーメンの謎に新説!正体不明のミイラが彼の母親だった!?、「王家のDNA」解析からわかったこと
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「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」、江戸東京博物館、2020年11月21日(土) ~2021年4月4日(日)
京都市京セラ美術館(2021年4月17日[土]~6月27日[日])、静岡市の静岡県立美術館(7月10日[土]~9月5日[日])、東京・八王子市の東京富士美術館(秋開幕予定)へ巡回
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