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2020年4月

2020年4月 9日 (木)

「桜 さくら SAKURA 2020 ―美術館でお花見 ! ―」・・・花の宴

Togyuu-daigo 
Yamatane-sakura-202001
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第213回
春の夕暮れ、山種美術館に行く。3月16日、上野で桜が開花し始めたが、感染症の世界的流行の惨事が始まって、不気味な空気である。
菱田春草《桜下美人図》は、美術学校時代の若き日の作品、菱川師宣の面影の残影があり、孤高の藝術家の出発点である。
【花と詩人】理念を追求した人、王羲之、李白、空海、嵯峨天皇、大伴家持、藤原俊成、藤原定家、織田信長。春の兆し、桜を愛で、桃を愛し、神泉苑で、花の宴を催した文人たち。儚い花、儚い香り、儚い夢、儚い愛、愛別離苦の悲しみを歌った詩人たち。この世の苦しみを、花を愛で宴を催し、時を楽しむ。
桜満開の京都をさまよい歩いたある春を思い出す。春爛漫、桜満開の京都の風景は、はるか昔、宇宙のどこかに刻まれている。人間が知り得る知恵は、すべて、宇宙のどこかですでに完成されている、すでに完全な形で書き刻まれているものの似姿、模写にすぎない。プラトン
あの春、私は、桜満開の京都に旅して、仁和寺に宿泊、密教寺院を彷徨い、桜の庭をめぐった。1200年前の時に迷いこむ。東寺、灌頂院、大師堂、醍醐寺、龍安寺、金閣寺、銀閣寺、清水寺、三十三間堂、大徳寺、妙心寺、南禅寺、東福寺、密教寺院と臨済宗の庭。
富と権力の追求が情報を巧みに制御することによって、富と権力を追求し続け、その矛盾が巨大な怨恨と破壊に成長する時、世界の終わりが来ることを知らねばならない。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
【嵯峨天皇の花の宴、神泉苑にて】花(桜)を賞翫しながら漢詩を作って遊ぶ典雅な催し、その始まりが嵯峨天皇の神泉苑の詩宴。神泉苑の詩宴は『日本後紀』弘仁三年(812)二月一二日の記事「神泉苑に幸(いでま)す。花樹を覧(みそな)はし文人に命じて詩を賦せしむ」
【大伴家持 春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女】春の園の紅色に咲く桃の花、その下に輝いている道に佇む乙女よ。『万葉集』巻十九、4139 大伴家持、天平勝宝二(750)年三月一日(4月15日)の暮(ゆふべ)に、春の苑の桃李の花を眺矚めて作る二首
【春夜桃李園に宴するの序 李白】それ天地は萬物の逆旅にして 光陰は百代の過客なり 而して浮生は夢の若し 歡を爲すこと幾何ぞ 古人燭を秉りて夜遊ぶ まことに以(ゆえ)
【新古今歌人、西行(佐藤義清)】鳥羽院の北面武士であったが、鳥羽院の女に手をだし、23歳で出家。「高貴な上臈女房と逢瀬をもった」『源平盛衰記』。女は、待賢門院璋子、璋子は、鳥羽上皇の中宮にして白河法皇の愛妾。
西行は、願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ『山家集』(続古今1527)。歌に詠んだ通り、1190年3月31日、陰暦2月16日、釈尊涅槃の日に入寂。73歳。
【醍醐の花見】豊臣秀吉がその最晩年に京都の醍醐寺三宝院裏の山麓において催した花見の宴。秀吉は畿内から700本の桜を植え、三宝院の建物と庭園を造り、盛大な宴を開いた。息子・秀頼、正室・北政所、側室の淀、三の丸など女房衆1300人余りが参加。秀吉61歳。慶長3年
【天下布武】「武とは戈を止めることである(止戈)」「禁暴・戢兵・保大・定功・安民・和衆・豊財(武力行使を禁じ、武器をおさめ、大国を保全し、君主の功業を固め、人民の生活を安定させ、大衆を仲良くさせ、経済を繁栄させる)七徳を備えるべき」『春秋左氏伝』
――
【空海と守敏、神泉苑にて、祈雨修法の争い】天長元年(824年)の大干魃の時、祈雨の修法を東寺の弘法大師(空海)に命じて、神泉苑で執り行われた。西寺の守敏僧都が現れ、自からが先に修法を行うと申出る。祈雨の法を争い、空海が勝利した。『今昔物語集』巻十四、『贈大僧正空海和上伝記』
【藤原定家19歳。世上乱逆追討耳に満つと雖も之を注せず。紅旗征戎は吾事に非ず。だが政治中枢に翻弄されていく】定家34歳、健久7年の政変1196。39歳、新古今和歌集選者1201、元久2年(1205)成立。1221年、承久の乱、後鳥羽上皇隠岐追放。
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【ヴィスコンティ『ベニスに死す』1971】1911年コレラ感染に襲われるベニス。訪れた老作曲家は、出会った貴族の血を引く美少年の美の虜となる。病に侵された老作曲家、日々少年の姿を追ってベニスの街を彷徨い、死が迫る。マーラー交響曲第5番第4楽章アダージェット。
【天平の疫病】首都、平城京でも大量に感染した。735年(天平7年)から737年6月には疫病、天然痘の蔓延によって朝廷が停止される事態となり、政権を担っていた藤原四兄弟、藤原武智麻呂、藤原房前、藤原宇合、藤原麻呂も全員が感染によって病死。原因は遣唐使、遣新羅使。738年(天平10年)1月まで続いた。
【東大寺、盧舎那仏像】天平の疫病の後、聖武天皇により、農民に土地の私有を認める「墾田永年私財法」天平15年5月27日(743年6月23日)に発布された勅が施行された。聖武は仏教への帰依を深め、東大寺および盧舎那仏像の建造を命じ、各地に国分寺を建立。
――
【理念を探求する精神】理念を追求する精神は、邪知暴虐な権力と戦い、闇の彼方に理想と美を求める。理念の人は、苦難を超えて、輝く天の仕事を成就する。空海、孔子、織田信長、李白、プラトン。即身成仏、仁義礼智、武の七徳、桃花流水杳然去、美の海原の彼方の美のイデア、存在の彼方の善のイデア。
【織田信長】攻撃を一点に集約せよ。臆病者の目には、常に敵が大軍に見える。必死に生きてこそ、その生涯は光を放つ。器用というのは、世間(他人)の思惑の逆をする者だ。人城を頼らば城人を捨てん。仕事は自分で探して、創り出すものだ。与えられた仕事をやるのは、雑兵だ。
【真実を追求する人と詐欺を追求する人との戦い】政府、専門家会議は、後者を選択。 愚者と狂人が支配する国。知性と戦略なき国家は、滅亡する。【天下布武】「武とは戈を止めることである(止戈)」「禁暴・戢兵・保大・定功・安民・和衆・豊財(武力を禁じ、人民の生活を安定
――
東寺・・・春爛漫の京都
https://bit.ly/3aVI9Dy
上村松園と美人画の世界・・・肉体の美と叡智
https://bit.ly/2GXmVru
「法隆寺金堂壁画と百済観音」・・・若草伽藍と聖徳太子の謎
https://bit.ly/2R8JNtG 
――
展示作品の一部
橋本雅邦《児島高徳》、 横山大観《山桜》、 菱田春草《桜下美人図》、 松岡映丘《春光春衣》、 小林古径《桜花》、 川端龍子《さくら》、 土田麦僊《大原女》、 奥村土牛《醍醐》、《吉野》、 小茂田青樹《春庭》、 速水御舟《夜桜》、 橋本明治《朝陽桜》
特別展「桜 さくら SAKURA 2020 ―美術館でお花見 ! ―」山種美術館
2020年3月14日(土)~5月10日(日) 4月4日以後、臨時休館。
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2020/sakura2020.html

2020年4月 4日 (土)

私たちは運命と戦うために生まれた・・・Rinascerò rinascerai, Roby Facchinetti

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大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第212回
日本は櫻満開、花吹雪が舞っている、窓から家の中に桜の花びらが漂ってくる。だが、日本は、危機に瀕している。
【都市封鎖して収入保障か、感染爆発で国家滅亡か】【検査して感染爆発防止か、検査しないで医療崩壊か】日本政府、専門家会議は、後者を選択。 愚者と狂人が支配する国。知性と戦略なき国家は、滅亡する。
圧倒する嵐、いかなる危機にも、私は運命と戦う。理念を追求して、運命と戦い、邪知暴虐な敵と戦い、聖なる目的を成し遂げる。人は運命と戦うために生まれた。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
【瀕死のイタリア、ベルガモからのメッセージ】
Message fron Bergamo Italy
瀕死のイタリア、ベルガモからのメッセージ
Rinascerò rinascerai, Roby Facchinetti
https://youtu.be/E_xtupkPyho
Roby Facchinetti-私は生まれ変わる、あなたは生まれ変わる
https://youtu.be/D5DhJS5hGWc
――
訳詞

私は生まれ変わる、あなたは生まれ変わる
それがすべて終わったとき
私たちは再び星を見に戻ります
私は生まれ変わる、あなたは生まれ変わる
私たちを圧倒する嵐
それは私たちを曲げますが、それは私たちを壊しません
私たちは運命と戦うために生まれた
でもいつも勝ちました
これらの日は私たちの日を変える
今回はもう少し学びます
私は生まれ変わる、あなたは生まれ変わる
私は生まれ変わる、あなたは生まれ変わる
大空に抱かれる
私たちは神を信頼するために戻ってきます
しかし、沈黙は新しい空気を吸い込みます
しかし、私のこの町は私を怖がらせます
私たちは運命と戦うために生まれました
でもいつも勝ちました
生まれ変わる生まれ変わる
生まれ変わる生まれ変わる
生まれ変わる生まれ変わる
生まれ変わる生まれ変わる
生まれ変わる生まれ変わる
生まれ変わる生まれ変わる

Questo il testo di “Rinascerò”.
Rinascerò rinascerai
quando tutto sarà finito
torneremo a riveder le stelle
Rinascerò rinascerai
la tempesta che ci travolge
ci piega ma non ci spezzerà
siamo nati per combattere la sorte
ma ogni volta abbiamo sempre vinto noi
questi giorni cambieranno i nostri giorni
ma stavolta impareremo un po’ di più
Rinascerò rinascerai
Rinascerò rinascerai
abbracciati da cieli grandi
torneremo a fidarci di Dio
ma al silenzio si respira un’aria nuova
ma mi fa paura questa mia città
siamo nati per combattere la sorte
ma ogni volta abbiamo sempre vinto noi
Rinascerò rinascerai
Rinascerò rinascerai
Rinascerò rinascerai
Rinascerò rinascerai
Rinascerò rinascerai
Rinascerò rinascerai
Il brano è arrangiato da Danilo Ballo con il mixaggio di Marco Barusso, i cori sono stati cantati da un gruppo di voci bergamasche riunite grazie alla collaborazione di Daniele Vavassori, e dalla voce di Valeria Caponnetto Delleani, mentre le chitarre del finale sono suonate da Diego Arrigoni, chitarrista dei Modà.
Come fa sapere Facchinetti, la canzone uscita solo ieri, è già prima nella classifica iTunes.
歌はマルコ・バルッソのミキシングとダニロ・バロがアレンジし、合唱団はダニエレ・ヴァヴァッソリのコラボレーションのおかげで集まったベルガモの声のグループとヴァレリア・カポネント・デッレアーニの声で歌われ、フィナーレのギターはディエゴが演奏しましたModàのギタリスト、Arrigoni。
――
参考文献
私たちは運命と戦うために生まれた・・・Rinascerò rinascerai, Roby Facchinetti
https://bit.ly/2R7KGCH
「法隆寺金堂壁画と百済観音」・・・法隆寺と百済観音の謎
https://bit.ly/2J66OZZ
「法隆寺金堂壁画と百済観音」・・・若草伽藍と聖徳太子の謎
https://bit.ly/2R8JNtG 

2020年4月 3日 (金)

「法隆寺金堂壁画と百済観音」・・・若草伽藍と聖徳太子の謎

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大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第211回
桜の森を歩いて、博物館に行く。圧倒する嵐、いかなる危機にあっても、私は運命と戦う。理念を追求して、運命と戦い、邪知暴虐な敵と戦い、聖なる目的を成し遂げる。人は運命と戦うために生まれた。「人間の真の姿がたち現れるのは、運命に敢然と立ち向かう時である」。
【復讐する偉大な王】アレクサンドロス大王、クレオパトラ7世、弟プトレマイオス14世を暗殺。プロイセンのフリードリッヒ大王、織田信長、偉大な人生は、復讐から始まる。絶望に立ち向かう。絶望を超えて、復讐を果たし、天の仕事を成し遂げる。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
【法隆寺の謎、血に塗れた歴史】再建法隆寺はいつ建てられたのか。再建法隆寺はだれによって建てられたのか。天智天皇9年(670)4月「災法隆寺一屋無余」法隆寺が全焼した『日本書紀』。なぜ、斑鳩寺は全焼したのか。壬申の乱(671年)天武は、法隆寺再建とどうかかわるのか。夢殿の扉は、なぜ1000年以上、閉ざされたのか。なぜ、厩戸皇子は48歳で暗殺されだのか。なぜ、山背大兄皇子一族は自害させられたのか。なぜ、厩戸皇子は天武によって「聖徳太子」神聖化されたのか。金堂壁画は、いつ描かれたのか、何を描くのか。
この世の生存競争、利害名利を求める者、邪知暴虐の人が栄える時、天罰下る。邪知暴虐の人が栄え、知ある者が滅びるとき、天誅下るべし。
【上智と下愚は移らず】最上の知者は悪い境遇にあっても堕落せず、最下の愚者はどんなによい境遇にあっても向上しない。美しいものを美しいと感じる心が美しい。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
【権力闘争史】石上神社物部氏と蘇我氏の争い、出雲と大和の権力抗争が根源。物部と蘇我の崇仏論争、物部御輿と蘇我稲目との争い、蘇我馬子、物部守屋を討つ。蘇我馬子、崇峻天皇を暗殺。厩戸皇子暗殺の謎、蘇我蝦夷と厩戸皇子の争い。皇極天皇2年(643年)蘇我入鹿、山背大兄皇子一族を自害に追いつめる。乙巳の変、蘇我入鹿と中大兄皇子の争い。壬申の乱、中大兄皇子の子大友皇子と大海人皇子の争い。天智系と天武系の殺し合いが始まる。
――
【斑鳩寺607年、若草伽藍、法隆寺693年739年、西院伽藍693年、東院伽藍738年】
1、斑鳩寺の歴史 607年
法隆寺の起源【斑鳩寺】金堂薬師如来像光背銘によれば、斑鳩寺は用明天皇が自らの病気平癒のため建立を発願したが、志を遂げずに崩御したため、遺志を継いだ推古天皇と厩戸皇子が推古天皇15年(607年)に寺と薬師像を造った。
【607年、斑鳩寺、厩戸皇子】創建は金堂薬師如来像光背銘、『上宮聖徳法王帝説』から推古天皇15年(607年)とされる。若草伽藍跡が焼失した創建法隆寺の跡、この伽藍が推古朝の建立であった。発掘調査の結果や出土瓦の年代等から定説。
【法隆寺再建・非再建論争】『日本書紀』には天智天皇9年(670年)に法隆寺が全焼したとの記事がある。この記事をめぐり、現存する法隆寺(西院伽藍)は厩戸皇子の時代のものか、天智天皇9年(670年)以降の再建かについて長い論争があったが【法隆寺再建・非再建論争】若草伽藍の発掘調査により、厩戸皇子時代の伽藍は一度焼失し、現存の西院伽藍は7世紀末頃の再建であることが定説である。「夢殿」を中心とする東院伽藍は太子の営んだ斑鳩宮の旧地に建てられている。

2、厩戸皇子の死と山背大兄皇子一族滅亡
【厩戸皇子、斑鳩寺】厩戸皇子(574年2月7日〈敏達天皇3年1月1日〉-622年4月8日〈推古天皇30年2月22日〉)、厩戸皇子、48歳で死す。 なぜ、厩戸皇子は死んだのか。疫病による病死、膳大郎女との自殺、暗殺。議論を呼ぶ暗殺説には、蘇我氏、唐からの暗殺者、中大兄皇子と中臣鎌足、等がある。
【643年、山背大兄皇子一族滅亡、斑鳩宮炎上】皇極天皇2年(643年)、蘇我入鹿が山背大兄王を襲った。この時、斑鳩宮は焼失した。斑鳩寺はこの時は無事だったと考えられる。八角堂、夢殿を中心とする東院伽藍は、天平10年(738年)頃、行信僧都が斑鳩宮の旧地に太子を偲んで建立した。

3、法隆寺の歴史 693年、739年
【法隆寺の謎、再建法隆寺はいつ建てられたのか】
金堂の天井板の材の伐採年667年、668年。五重塔の材673年、中門の材699年。壬申の乱(671年)の前後。武澤『法隆寺の謎を解く』P19。五重塔の心柱の材は594年。塔の二層軒下の材は673年。『法隆寺の謎を解く』P33。
【法隆寺の謎、再建法隆寺はだれによって建てられたのか】
壬申の乱(671年)の後。天武天皇と天武妃、持統天皇が、厩戸皇子を神聖化、聖徳太子として命名、再生、利用した。持統天皇7年(693年)法隆寺で仁王会(『法隆寺資財帳』)。
【670年、法隆寺、全焼】『日本書紀』には天智天皇9年(670年)に法隆寺が全焼したという記事があり、現存する法隆寺の伽藍は火災で一度失われた後に再建された。焼失した寺院は、斑鳩寺、推古天皇15年(607年)創建。若草伽藍跡が焼失した創建法隆寺の跡、この伽藍が推古朝の建立。発掘調査の結果や出土瓦の年代等から定説。
【671年、壬申の乱】671年12月、天智が亡くなると大海人皇子は挙兵を決意する。大友皇子の即位を阻止する。壬申の乱で大海人皇子、大友皇子を死に追いつめ自害させた。
【693年、西院伽藍】金堂、五重塔を中心とする。金堂「東の間」に安置される銅造薬師如来坐像(国宝)の光背銘には「用明天皇が自らの病気平癒のため伽藍建立を発願したが、用明天皇がほどなく亡くなったため、遺志を継いだ推古天皇と聖徳太子があらためて推古天皇15年(607年)、像と寺を完成した」という趣旨の記述がある。
【693年、西院伽藍】現存の西院伽藍は、持統天皇7年(693年)に法隆寺で仁王会が行われている(『法隆寺資財帳』)。少なくとも伽藍の中心である金堂はこの頃までに完成。同『資財帳』によれば、和銅4年(711年)には五重塔初層安置の塑像群や中門安置の金剛力士像が完成、この頃までに五重塔、中門を含む西院伽藍全体が完成していた。
【739年、東院伽藍】天平11年(739年)に行基菩薩、僧行信によって夢殿を中心として建てられた聖徳太子を祀る寺院。法隆寺の東院の所在地が斑鳩宮の故地である。
――
救世観音像の謎
救世観世音菩薩像、東院伽藍、夢殿に秘蔵された。救世は「人々を世の苦しみから救うこと」であり、救世だけで観音の別名。名称の由来は「法華経」観世音菩薩普門品の中の「観音妙智力 能救世間苦」の表現にあると推測される。聖徳太子の等身の御影と伝わる。止利様式。鞍作止利は、渡来系の司馬達等の孫で、鞍部多須奈の子。 7世紀の仏師、謎の人。
【夢殿解扉】1886
1886(明治19)年、法隆寺に、外国人フェノロサを代表とする調査使節(岡倉覚三、九鬼隆一)が現れ、明治政府の身分証明書を提示し、夢殿の厨子を開扉するよう要求した。救世観音像を発見。法隆寺650体の仏像の中で、最も謎に満ちた仏、東院伽藍の夢殿に祀られている救世観音像。【岡倉天心1863-1913】美術評論家、思想家。
百済観音の謎
謎の様式、謎の伝来。法隆寺西院、金堂本尊の釈迦三尊像、東院夢殿の救世観音像のような止利式の仏像とは様式を異にする。止利式の仏像は正面観照性が強く、側面感がほとんど考慮されていない。法隆寺の根本史料である天平19年(747年)の『法隆寺資財帳』には百済観音に相当する仏像についての記載はない。本像がいつ、どこで、誰によって造られ、どこの寺に安置されていたものか、正確なことは全く不明。法隆寺幡の模様と同一の腕飾り、山背大兄皇子を追悼するために作られたものか。
――
法隆寺の仏像
【法隆寺、救世観音】東院伽藍、夢殿。739年。
【法隆寺、薬師如来】西院伽藍。金堂「東の間」本尊。光背に丁卯年(607年)、用明天皇のために作った旨の造像銘があり、
【法隆寺、釈迦三尊像】西院693年、金堂「中の間」本尊。推古31年(623年)止利仏師作の銘を有する銅造釈迦三尊像。
【法隆寺、夢違観音】大法蔵院所蔵。「夢違」は江戸時代に書かれた『古今一陽集』に「悪い夢を見たとき、この観音像に祈るとよい夢に変えてくれる」とあることに由来する。白鳳時代の金銅像。薄い裳や三面宝冠はこの像が白鳳時代の作の根拠である。金堂薬師如来は推古15年(607)造顕の銘を持ち、古拙な表現であるが、金堂完成後の擬古作説もあり、その銘の信憑性が疑われている。白鳳時代を代表する仏像は、夢違観音の名で親しまれる聖観音像、橘夫人念持仏と伝える阿弥陀三尊像がある。
【法隆寺、西院。金堂】西院伽藍の中心的な建物である金堂の内陣には「中の間本尊」の釈迦三尊像、「東の間本尊」の薬師如来像、「西の間本尊」の阿弥陀三尊像の3組の本尊が安置されている(以上の仏像はいずれも銅造)。なお、「中の間」「東の間」「西の間」は相互に壁などで明確に仕切られているわけではなく、柱の位置と、天井に吊るされた3つの箱形天蓋とによってゆるやかに区切られているにすぎない。3組の本尊のうち「中の間」の釈迦三尊像の光背裏面には推古31年(623年)造立、「東の間」の薬師如来像の光背裏面には推古15年(607年)造立の銘文がある。
――
参考文献
図録「法隆寺金堂壁画と百済観音」東京国立博物館2020
「法隆寺金堂壁画と百済観音」・・・法隆寺と百済観音の謎
https://bit.ly/2J66OZZ
「法隆寺金堂壁画と百済観音」・・・若草伽藍と聖徳太子の謎
https://bit.ly/2R8JNtG
「正倉院の世界」東京国立博物館・・・螺鈿紫檀五絃琵琶、天平文化の香り
https://bit.ly/33VYRiy
「国宝 薬師寺展」・・・月光菩薩、日光菩薩、白鳳文化の美の香り
https://bit.ly/2Ovw4gs
「国宝 阿修羅展」・・・阿修羅像の謎、光明皇后、天平文化の香り
https://bit.ly/2zKYquU
「出雲と大和」東京国立博物館・・・大海人皇子、大王から天皇へ
https://bit.ly/2ReO0wz
国宝 興福寺仏頭展・・・白鳳文化の香り
https://bit.ly/2T7N50o
坂本勝『図説 古事記と日本書紀』2009
坂本勝『図説 万葉集』2009
聖徳太子のいまだ解けざる三つの謎、『暗黒の日本史 闇に消えた歴史の真相』青春出版社、2015
――
特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」東京国立博物館
2020年、公開日未定 ~ 2020年5月10日(日)
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1984

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