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2019年10月22日 (火)

「正倉院の世界」・・・螺鈿紫檀五絃琵琶、天平文化の香り

Shosoin2019-2
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』195回
大風が吹き荒れた嵐の秋の午後、多摩川を渡って、銀杏の実が落下して散り敷いた広場にて友人と会い、森を歩いて博物館西門に行く。
【螺鈿紫檀五絃琵琶、千二百年前からきた旅人】沙漠を超えて、千二百年前からきた旅人。琵琶に刻まれた、駱駝に乗って琵琶を演奏する人。裏面に散り乱れる宝相華文。琵琶を奏でる、千二百年の旅人。天平の音色が漂う。56歳で亡くなった聖武天皇の遺愛の品、五絃琵琶を光明皇后が東大寺盧遮那仏に献じた。苦悩から生まれた盧遮那仏の蓮華蔵世界。天平文化の偉大と頽廃。
【蘭奢待】天正二(1574)年3月27日、織田信長は正親町天皇の勅許をえて切らせ、四月三日畫相國寺にて蘭奢待を千宗易に下賜した(『天王寺屋会記』)。寛正6(1465)年、足利義政が蘭奢待を截り取り。天下の名香、天平の香りが立ち昇る。天平勝宝8(756)年、光明皇后が盧遮那仏に献じた黄熟香。『国家珍宝帳』記載。
【天平文化の偉大と頽廃】聖武朝は、長屋王の変、藤原四子の死、藤原広嗣の乱を経験、740恭仁京、742紫香楽宮、745難波京、3回にわたり遷都、天平17(745)年、平城京に戻り、盧遮那仏を造立、天平勝宝4(752)年開眼。天皇は56歳で死に、光明子は60歳で死す。王の栄光と苦悩。苦悩を癒すため、華厳経の教主、盧遮那仏に祈った。光明子の偉大と頽廃。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
――
【天平時代 血に塗れた天平時代(729-749年) 】
729年、長屋王の変。737年、藤原四子の死(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)藤原四子が姉妹の光明子を聖武天皇と政略結婚させようとしたが、長屋王が反対した。そこで彼らは長屋王を謀殺。長屋王の変である。ところが新羅からやって来た天然痘で藤原四子は次から次へと死亡。聖武天皇は崇りを恐れた。その後、740年、藤原広嗣の乱が起り、聖武天皇の恐れは増大。天平勝宝元(749)年、孝謙天皇に譲位。 重祚した称徳天皇は道鏡に太政大臣禅師と法王の位を与えた。 
【天平文化】東大寺、盧遮那仏、天平勝宝4年(752年)開眼供養。東大寺を建立し、金光明最勝王経と妙法蓮華経を崇拝し配置、東大寺盧遮那仏、東大寺法華堂、転害門、薬師寺東塔、法隆寺東院夢殿が建立された。天平文化は、周(武周)の武則天や唐の玄宗皇帝の文化、爛熟した盛唐の文化の影響を受けた仏教文化である。
【阿修羅像】阿修羅像は、三面六臂、734年(天平六年)、脱活乾漆造。天平彫刻の最高傑作。憂いを秘めた顔貌。聖武天皇の后、光明皇后が母、県犬養橘三千代の冥福を祈って、天平六年に建立された西金堂に造立安置された八部衆のうちの一躯。
【阿修羅像の謎】女性か男性か、モデルはだれか。実在のモデルが存在する。光明子の娘、15才の少女、阿倍内親王(孝謙天皇)であるとする説あり。阿修羅像の三面、中央は、憂い、左は怒り、右は困惑を表す。749年孝謙天皇、即位。
【絶世の美女、美しき王妃】聖武天皇后、光明子。嵯峨天皇皇后、橘嘉智子。織田信長の愛妻、生駒吉乃、信長の娘、徳姫。信長の妹、お市の方、お市の娘、浅井三姉妹、茶々、初、江。*嵯峨天皇の后、橘嘉智子(檀林皇后嘉智子)は「法華寺十一面観音立像」(9世紀)のモデル。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
―――
【正倉院】756年に営まれた聖武天皇の七七忌(四十九日)に、光明皇后が大仏にささげた天皇の遺愛品六百数十点が起源。東大寺の正倉院宝庫に納められたが、薬物が治療用に使われたり、大量の武器が藤原仲麻呂(恵美押硝の乱(764年)で持ち出された。庫内に現存する宝物は約9千点。
【光明皇后】(701-760)。光り輝く美しさから光明子という。大宝元年生まれ。藤原不比等と県犬養美千代の娘。孝謙天皇の母。長屋王の変の後、天平元年(729)臣下からはじめて皇后となり、藤原氏の勢力拡大に寄与。仏教に帰依し、国分寺の建立、東大寺大仏の造営をすすめ、施薬院、悲田院をもうけて病人や孤児をたすけた。天平勝宝6年、聖武、孝謙と共に大仏殿前で唐僧鑑真より受戒。天平宝字4年6月7日死去。60歳。名は安宿媛(あすかべひめ)光明子。王羲之の書「楽毅論」を臨書した巻物は名筆として著名。
【盧舎那仏像】東大寺大仏殿(金堂)の本尊である仏像。聖武天皇の発願で天平17年(745年)紫香楽宮にて制作が開始され、天平勝宝4年(752年)に開眼供養会。
【聖武天皇】701-756。在位724-749。大宝元年生まれ。文武天皇の皇子。母は藤原不比等の娘宮子。元正天皇の譲位をうけ即位。蝦夷の反乱、長屋王の変、天然痘の大流行、藤原広嗣の乱、政情・世情が安定せず、たびたび都を遷した。仏教に帰依して諸国に国分寺、国分尼寺、,東大寺の大仏造立。天平勝宝(756)8年5月2日死去。56歳。
――
【聖武と天平文化】遣唐使を2回送って唐の文化をとり入れ、その治世に天平文化が頂点に達した。仏教に深く帰依。国分寺・国分尼寺、東大寺を建て、東大寺の盧遮那仏を造立。その造営事業は740恭仁京、742紫香楽宮、745難波京と3回にわたる遷都とともに膨大な費用を要し、国家財政は乱れた。749年孝謙天皇に譲位。
――
★展示作品の一部
『国家珍宝帳』東大寺献物帳、奈良時代・天平勝宝8歳(756)正倉院宝物[前期展示]
「宝物はみな聖武天皇の御遺愛品などです。昔のことを思い出し、目を触れるたび悲しみでくずれそうになります。謹んで盧遮那仏に奉納します」光明皇后は天皇が早く盧遮那仏の世界「花蔵の宝刹」に安住されることを願って、東大寺の盧遮那仏に天皇ご遺愛の品々をはじめとする、六百数十点の宝物を献納。
平螺鈿背八角鏡、中国 唐時代・8世紀 正倉院宝物[後期展示]
黄熟香、東南アジア 正倉院宝物[通期展示]
【「蘭奢待」】天下の名香。この雅名の中には「東」「大」「寺」の三文字が組み込まれている。足利義政や織田信長らがこの香木を得たいと熱望し、一部を切り取った出来事は有名、近代になっても明治天皇が行幸した折に切り取られている。沈丁花科のジンコウ属植物に樹脂が沈着することで出来た沈香(じんこう)であり、いまだに高い香りを放っている。『国家珍宝帳』記載
螺鈿紫檀五絃琵琶、中国 唐時代・8世紀 正倉院宝物 [前期展示]
【螺鈿紫檀五絃琵琶】古代インドに起源を持つ五絃琵琶。その唯一の作例として著名な本作は、紫檀を刳り抜いた本体に別材の腹板をあて、全体に玳瑁(たいまい、ウミガメの甲羅)と螺鈿で装飾を施している。背面に表わされた宝相華文は圧巻の造形美。撥を受ける部分にはラクダに乗って琵琶を演奏する人物が表され、シルクロードを通じて遠い異国の音楽が伝えられたことを象徴する。『国家珍宝帳』記載の品、古代東洋の工芸史上、最高の傑作と言うべき至宝。
紫檀木画槽琵琶したんもくがのそうのびわ中国 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物 [後期展示]
伎楽面 酔胡王、奈良時代・8世紀 正倉院宝物 [前期展示]
漆胡瓶、中国 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物 [後期展示]
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★参考文献
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
東大寺大仏-天平の至宝・・・蓮華蔵世界、蓮の花弁に香る天平文化.
https://bit.ly/2xC6IE4
「国宝 阿修羅展」・・・阿修羅像の謎、光明皇后、天平文化の香り
https://bit.ly/2zKYquU
「国宝 薬師寺展」・・・月光菩薩、日光菩薩、白鳳文化の美の香り
https://bit.ly/2Ovw4gs
織田信長、第六天魔王、戦いと茶会・・・戦う知識人の精神史
https://bit.ly/2CQlxoY
織田信長、茶を愛好、本能寺の変、天下布武、天下の三肩衝・・・戦う知識人の精神史
https://bit.ly/2R1G0fU
林陸朗著『光明皇后』1961
『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』
――
★「正倉院の世界-皇室がまもり伝えた美-」東京国立博物館、10月14日(月)~ 11月24日(日)
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1968

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