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2019年6月 9日 (日)

「密教彫刻の世界」東京国立博物館、愛染明王、金剛薩埵の化身

Esoteric-buddism-2019
Aizen-tnm-2014
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』184回
風薫る五月、花の匂い漂う森を歩いて、博物館に行く。伝真言院「両界曼荼羅」は、朱色と緑色の彩色が美しいと変化仏の神殿である。東寺の金剛薩埵は繊細な美しい手をしている。金剛波羅密、金剛宝、金剛法、金剛業、五菩薩の手は繊細で優美である。
狩野之信「花鳥図屏風」の前を通って、密教彫刻室に行く。愛染明王(rāgarāja. mahārāga)、大日如来(光徳寺)、西蔵のYab-yum像を見る。大日如来(光徳寺)には、成身会37尊が描かれている。
愛染明王(rāgarāja)は、三目六臂、憤怒相、智慧の弓と方便の矢を以って、衆生に愛と尊敬を与え、幸運を授ける。霊験は、無病息災、敬愛、降伏、鈎招、延命。
愛染明王は、両界曼荼羅に描かれていない。だが、金剛薩埵(vajrasattva)の化身である。
人間の生は、真の愛を探求する旅である。象徴派の藝術家は、人生をかけて愛する人を探している。愛と美の探求の果てに、何を見いだすのか。
「金剛界曼荼羅」「理趣会」は、金剛薩埵(vajrasattva)を中心とする集会、甘美で妖艶なエロスと智慧の香りである。
美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
美しい夕暮れ。美しい魂に、幸運の女神が舞い降りる。美しい守護精霊が救う。美しい魂は、輝く天の仕事をなし遂げる。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保 正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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1、愛染明王
【愛染明王】『金剛峯楼閣一切瑜珈瑜祇経』が説く、獅子冠をかぶり3つの目と6本の腕をもつ愛染明王。真赤な身色も、経典に日が輝く如しと説くことを典拠とする。めらめらと燃えるように逆立つ焔髪、眉を吊り上げ睨みつける目、牙を出して開く口に憤怒相。金剛薩埵菩薩の化身。
【愛染明王】『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経』「愛染王品第五」。愛染明王の修法は、息災・増益・敬愛・降伏の『四種法』の利益、その功徳は「能滅無量罪 能生無量福」「三世三界中 一切無能越 此名金剛王 頂中最勝名 金剛薩埵定 一切諸佛母」教主である金剛薩埵がこの尊を定めて、一切の諸仏の母とした)とも讃えられていて、これに基づいて金剛界で最高の明王と解釈される。
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2、愛染明王真言
【愛染明王真言】「オーム、偉大なる愛染明王よ。金剛仏頂尊よ。決して破壊されない最高の仏智を備えた金剛薩埵よ。金剛薩埵と同一の、金剛鉤菩薩、金剛索菩薩、金剛鎖菩薩、金剛鈴菩薩よ。我々を仏智に導いてください。」oM ma hA raga vajro SHI Sa va jra satva jaH+jaH hUM vaM hoH
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3、成身会、理趣会
【「金剛界曼荼羅」成身会】37尊。金剛界五仏、十六大菩薩、四波羅蜜菩薩、内外の四供養菩薩、四摂(ししょう)菩薩の以上37尊より構成され、これを四大神と賢劫千仏と二十天が囲む。金剛界五仏とは中央の大日如来、東方の阿閦如来、南方の宝生如来、西方の阿弥陀如来、北方の不空成就如来の五仏。四摂菩薩は、金剛鉤菩薩(Vajrankusa)、金剛索菩薩(Vajrapasa)、金剛鎖菩薩(Vajraśṛṅkhalā)、金剛鈴菩薩(Vajravesa)。
【八供養菩薩】金剛界曼荼羅の中央部の成身会で、大日如来が四仏に供養するため現出した嬉・鬘・歌・舞の四菩薩(内の四供)と、その外側に配されて四仏が大日如来を供養する香・華・灯・塗の四菩薩(外の四供)。
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【「金剛界曼荼羅」⑦「理趣会」】全部で17人の菩薩。中央が、金剛薩埵。周りに、慾金剛菩薩、触金剛菩薩、慢金剛菩薩、愛金剛菩薩。その周りに、金剛香菩薩、金剛華菩薩、金剛燈菩薩、金剛塗菩薩。さらにその周りに、金剛嬉菩薩、金剛鬘菩薩、金剛歌菩薩、金剛舞菩薩。さらにさらにその周りに、金剛鉤菩薩、金剛索菩薩、金剛鎖菩薩、金剛鈴菩薩。 全部で17尊。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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展示作品の一部
重文  愛染明王坐像  1躯  鎌倉時代・13世紀
重文 大日如来坐像  1躯  鎌倉時代・12~13世紀 栃木・光得寺蔵
重文 大日如来坐像  1躯  平安時代・11~12世紀
チャクラサンヴァラ父母仏立像  1躯 中国・チベットまたはネパール 15~16世紀
重文  十一面観音菩薩立像  1躯 中国 奈良・多武峯伝来 唐時代・7世紀
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4、無上瑜伽タントラ 慈悲と般若
Yab-yumは、男性尊格が蓮華座にて座し、伴侶がその腿に腰かける座位の構図。この交合の表現によって空性の智慧(女性原理、自利)と慈悲の方便(男性原理、利他)との一致を体現した仏陀の境地=大楽を表現。ヤブユムは無上瑜伽タントラと象徴主義が結びつき、男性像は「慈悲」(karuṇā) を与える男性原理である「方便」(upāya) 、その伴侶は女性原理である「般若」(prajñā) を象徴する。
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参考文献
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」東京国立博物館・・・空海、理念と象徴
https://bit.ly/2Ov53Hz
東寺『金剛界曼荼羅』『胎蔵界曼荼羅』西院本・・・知恵と戦いの叙事詩、生命の根源
https://bit.ly/315UPn8
密教経典『理趣経』・・・空海と金剛界曼荼羅
https://bit.ly/2H2diKc
田中公明『曼荼羅イコノロジー』1987
石田尚豊『曼荼羅の研究』全2巻、東京美術、1975年
関根俊一『仏尊の事典、壮大なる仏教宇宙の仏たち』1997
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愛染明王真言「オン・マカラギャ・バゾロシュニシャ・バザラサトバ・ジャク・ウン・バン・コク」
https://omajinai-navi.jp/aizen-myouou-mantra/ 
【不動明王、真言】【除霊や商売繁盛に効果抜群】「ノウマク サンマンダ バサラダン センダン マカロシャダ. ヤソハタヤ ウンタラタ カンマン」不動明王の真言は現世でご利益をもたらしてくれる。真言の意味は「憤怒の形相で強い力を持つ不動明王よ、私の迷いや厄を取り払い、願いを叶えてください」.。
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■密教彫刻の世界 、東京国立博物館
本館 14室 2019年3月19日(火) ~ 2019年6月23日(日)
https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=5751
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1957
愛染明王、東京国立博物館
https://albireo190.blog.so-net.ne.jp/2013-09-03

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