無料ブログはココログ

« 「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」・・・純粋な美しい魂に舞い降りる | トップページ | ルーベンス展―バロックの誕生・・・宮廷画家、バロックの荘厳華麗 »

2018年10月14日 (日)

フェルメール展・・・光の魔術師、オランダの黄金時代の光と影

Vermeer2018_1Vermeer_wine_glass大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第159回
初秋の森を歩いて美術館に行く。光の魔術師、フェルメール、淡い光の空間は何を意味するのか。
【フェルメール】ヨハネス・フェルメール(1632-1675)は、バロックの画家、カラバッジョの激情は存在しない。フェルメールは、光の魔術師と呼ばれるが、印象派の光とは異なる。フェルメールの空間構成、色彩設計、画中画の寓意は何を意味するのか。
16世紀スペインの黄金時代から、17世紀オランダの黄金時代へ。王家の宮廷から、富裕層の商人の家へ。フェルメールは、菱川師宣(1618-1694)の同時代人である。
『牛乳を注ぐ女』(1658年)、風俗画に転向した初期作品。台所の召使いが、牛乳をテーブル上の陶器の容器に注ぎ入れている。左の窓から日光が射し込んでいる。リンネルのキャップ、青いエプロン。床に四角い足温器。窓から差し込む柔らかい光。フェルメールは、光の画家とよばれる。
『ワイングラス』(1661-1662年)。ステンドグラスから差し込む淡い光。男にワインを勧められワインを飲む女。椅子の上にリュート。テーブルの上に楽譜。ロマンスの匂い。誘惑を戒める寓意か。
『取り持ち女』(1656年)。娼婦の家を舞台に、女の肩に手をかけ、金貨を渡す男の客。その背後で見守る取り持ち女。
アムステルダム国立美術館は『牛乳を注ぐ女』を「疑問の余地なく当美術館でもっとも魅力的な作品の一つ」とするが、どこが魅力なのか。フェルメールの空間、差し込む柔らかい光。意味のない世界。
【バロック】カラヴァッジョから始まる。カラヴァッジオの光と闇、ベラスケスの宮廷画、ルーベンスの華美な神話画、レンブラントの闇、ラ・トゥールの蝋燭、フェルメールの静謐な空間。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』
大久保 正雄『藝術家と運命との戦い』
――
『牛乳を注ぐ女』(1658年) アムステルダム国立美術館
ヨハネス・フェルメール『ワイングラス』(1661-1662年頃)ベルリン国立美術館
ヨハネス・フェルメール「真珠の首飾りの女」1662-1665年頃ベルリン国立美術館
ヨハネス・フェルメール「手紙を書く婦人と召使い」1670-1671年頃アイルランド・ナショナル・ギャラリー
「赤い帽子の娘」1665-1666年頃ワシントン・ナショナル・ギャラリー
『取り持ち女』(1656年)ドレスデン国立絵画館
「手紙を書く女」1665年頃ワシントン・ナショナル・ギャラリー
「リュートを調弦する女」1662-1663年頃メトロポリタン美術館
「マルタとマリアの家のキリスト」1556年 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
「赤い帽子の娘」は12月20日まで展示。「取り持ち女」は2019年1月9日より公開。
――
光と影の画家、フェルメール 21歳で画家、43歳で死す。
ヨハネス・フェルメール(1632-1675)、1632年デルフトに生まれる。1636年チューリップバブルが弾ける。1648年ウエストファリア条約、ミュンスターの和約*でオランダ独立。1647-53年、6年間、画家修業をする。1652年、父レイニール死去、宿屋と画商を受け継ぐ。21歳で画家として出発する。1654年英蘭戦争で敗戦。物語画から風俗画へと転換する。『取り持ち女』(1656年)『牛乳を注ぐ女』(1656-58年)。写実と創作を融合する風俗画を確立。『デルフト眺望』(1660)『絵画藝術』(1666-67)。物語を秘めた緻密な光と陰影の絵画に到達する。『手紙を書く女と召使い』(1672)。ピーテル・クラースゾーン・ファン・ライフェンがパトロンで21点以上を所蔵した。
1672年フランス侵攻。画家活動期間は22年間、32-35点の作品を残す。描いたのは50点と推定される。11-12人の子を残して1675年、43歳で死す。
――
カレル・ファブリティウス(Carel Fabritius)、フェルメールの師
カレル・ファブリティウス(1622年2月27日‐1654年10月12日)、レンブラント・ファン・レインの弟子。 アムステルダムのレンブラントの工房で絵を学んだ。1650年代初頭にデルフトへ移り、フェルメールと同時に、1652年にデルフトの画家ギルドに加入。 デルフト爆発事件で、1654年10月12日、デルフトで没、32歳。
今日に残る彼の作品は10点余り。『楽器商のいるデルフトの眺望』 1652年 「帽子と胴鎧をつけた男(自画像)」1654年
――
オランダの黄金時代 17世紀 宗教戦争と独立戦争
ネーデルラント諸州の独立戦争である八十年戦争(1568年から1648年)、フェリペ2世に対する反乱からウエストファリア条約まで。アウクスブルクの和議によりスペインから独立。
1602年、オランダ東インド会社設立。世界初の多国籍企業、最初の証券取引場であるアムステルダム証券取引所を設立した株式を財源とした。
【ウエストファリア条約】1648年10月24日調印の三十年戦争(1618-48)終結条約。1645年からドイツのウェストファーレンで開かれた講和会議で、フランス、スウェーデンは領土拡大、神聖ローマ帝国議会への参加権を獲得して国際的立場を強化、逆にハプスブルク家は勢力後退。ドイツ諸侯は完全な領土主権を認められ、神聖ローマ帝国内の分立主義が決定的となった。アウクスブルクの宗教和議の原則がカルバン派にも拡大、オランダとスイスの独立が正式に認められる。
【三十年戦争】ドイツを舞台として1618‐48年の30年間、ヨーロッパ諸国を巻きこんだ、宗教戦争の最後にして最大のもの。ボヘミアで勃発、旧教側にスペイン、新教側にデンマーク・スウェーデン・フランスが加担し国際戦争に発展。ドイツは荒廃し、ウェストファリア条約で終結。
――
【フェルメール 手紙】意中の人からの手紙を読む女、禁じられた恋の匂い。手紙を描いたフェルメール作品は6点ある。『窓辺で手紙を読む女』(1659年)が始まり『婦人と召使』(1668年)、『恋文』(1670)、『手紙を書く女と召使い』(1672)が到達点である。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
――
展示作品の一部
ヨハネス・フェルメール「マルタとマリアの家のキリスト」「ワイングラス」「牛乳を注ぐ女」1658「リュートを調弦する女」「手紙を書く女」「真珠の首飾りの女」「赤い帽子の娘」「手紙を書く婦人と召使い」1672「取り持ち女」1656「恋文」1669-1670年頃
17世紀のオランダ絵画
ハブリエル・メツー「手紙を読む女」1664〜1666年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー
ハブリエル・メツー「手紙を書く男」
ピーテル・デ・ホーホ「人の居る裏庭」1663〜1665年頃 アムステルダム国立美術館
ヘラルト・ダウ「本を読む老女」1631〜32年頃 アムステルダム国立美術館
ヤン・ステーン「家族の情景」
――
★参考文献
フェルメールからのラブレター展・・・禁じられた恋の匂い
https://bit.ly/2ogjOlc
「フェルメール展-光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館(2)・・・光と陰の室内空間
https://bit.ly/2BUKL7Q
ヴィルヘルム・ハンマースホイ、静かなる詩情、国立西洋美術館・・・陽光、あるいは陽光に舞う塵
https://bit.ly/2MN8f3R
ベルリン国立美術館展、フェルメール「真珠の首飾りの少女」・・・物欲と虚栄に溺れる女
https://bit.ly/2N0hSv3
小林頼子「フェルメールの魔法」
小林頼子『フェルメール 作品と生涯』
――
日本美術展史上、最大の「フェルメール展」を開催。「光の魔術師」とも称されるフェルメールの、わずか35点とされる希少な現存作品のうち、国内過去最多の8点を展示。
オランダ絵画黄金時代の巨匠ヨハネス・フェルメール(1632-1675)。
国内外で不動の人気を誇り、寡作でも知られ現存作はわずか35点とも言われています。
今回はそのうち8点を展示。日本美術展史上最大のフェルメール展を開催いたします。
日本初公開を含むフェルメールの作品のほか、ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらの傑作を含む約50点を通して、17世紀オランダ絵画の広がりと独創性をご紹介します。
――
★「フェルメール展」上野の森美術館、10月5日-2019年2月3日
http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=857636
大阪市立美術館、2019年2月16日(土)-5月12日(日)
大阪市立美術館は、フェルメールは6作品。「恋文」が出展される。

« 「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」・・・純粋な美しい魂に舞い降りる | トップページ | ルーベンス展―バロックの誕生・・・宮廷画家、バロックの荘厳華麗 »

フェルメール」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2082986/74395367

この記事へのトラックバック一覧です: フェルメール展・・・光の魔術師、オランダの黄金時代の光と影:

« 「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」・・・純粋な美しい魂に舞い降りる | トップページ | ルーベンス展―バロックの誕生・・・宮廷画家、バロックの荘厳華麗 »

最近のトラックバック

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30