ボストン美術館の至宝展、東京都美術館・・・陳容「九龍図巻」
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第123回
蝉しぐれの森を歩いて、美術館に行く。
夏の花に舞う蝶を見るとある歌を思い出す。
友よいとしの我友よ、色香ゆかしき白百合の心の花と咲き出でし世に香ぐはしく馨るらむ。(*「色香ゆかしき白百合、『相思樹の譜』、ひめゆり学徒隊」)
雲のなかに舞う龍
南宋の文人画家の陳容「九龍図巻」(1244)は、雲のなかに九匹の龍が舞う。10メートルの水墨画。清の乾隆帝に愛蔵されていた名品。文人画家、陳容は、自然主義を超えて、破墨、発墨の技法を用いて、精神あふれる龍を描いた。闇のなかで、歴史を超えて生き生きと躍動する水墨画の美に瞠目する。
宋画6点、展示されていて圧巻である。 北宋徽宗「五色鸚鵡図巻」、南宋馬遠「柳岸遠山図」、夏珪「風雨舟行図」、大徳寺五百羅漢から周季常1178年頃「観舎利光図」「施財貧者図」、陳容1244年「九龍図巻」。
ボストン美術館は、1870年設立。顧問として招かれた岡倉天心は1905年、東洋美術の蒐集を始める。「ボストン美術館 日本美術の至宝」東京国立博物館2012年、「ボストン美術館 肉筆浮世絵展、江戸の誘惑」江戸東京博物館2006年を思い出す。
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美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
黄昏の丘、黄昏の森。美しい魂に、幸運の女神が舞い降りる。美しい守護霊が救う。美しい魂は、輝く天の仕事をなす。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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展示作品の一部
「ツタンカーメン王頭部」Head of King Tutankhamen
エジプト、新王国時代、第18王朝、ツタンカーメン王治世時
紀元前1336-1327年
高さ30.5cm×幅26.7cm×奥行22.2cm 砂岩
「メンカウラー王頭部」 Head of King Menkaura (Mycerinus)エジプト、古王国時代、第4王朝、メンカウラー王治世時、 紀元前2490-2472年 高さ29.2cm×幅19.6cm×奥行21.9cmトラバーチン(エジプト・アラバスター)
Harvard University - Boston Museum of Fine Arts Expedition, 09.203
陳容 「九龍図巻」(部分)Chen Rong Nine Dragons南宋、1244年(淳祐4年)
46.2cm×958.4cm 一巻、紙本墨画淡彩
徽宗「五色鸚鵡図巻」Emperor Huizong Five-colored parakeet on a blossoming apricot tree 北宋、12世紀初期 53.3cm×125.1cm 一巻、絹本着色
曾我蕭白 「風仙図屏風」Soga Shôhaku,Transcendent Attacking a Whirlwind江戸時代、1764年(宝暦14年/明和元年)頃 155.8cm×364cm 六曲一隻、紙本墨画
英一蝶「涅槃図」江戸時代、1713(正徳3)年
喜多川歌麿「三味線を弾く美人図」1804-06(文化1-3)年頃
Fenollosa-Weld Collection, 11.4642
フィンセント・ファン・ゴッホ「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」1888年
Gift of Robert Treat Paine, 2nd, 35.1982
フィンセント・ファン・ゴッホ「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」1889年
クロード・モネ 「ルーアン大聖堂、正面」Claude Monet
Rouen Cathedral, Façade 1894年
フィッツ・ヘンリー・レーン「ニューヨーク港」 Fitz Henry Lane, New York Harbor1855年頃
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ボストン美術館 日本美術の至宝、東京国立博物館、2012年3/20~6/10
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1416
ボストン美術館 肉筆浮世絵展、江戸の誘惑、江戸東京博物館
2006年10月21日(土)〜12月10日(日)
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★ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション、東京都美術館
2017年7月20日(木)~10月9日(月・祝)
http://www.tobikan.jp/exhibition/2017_boston.html
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