ゴッホ『星月夜』・・・生命の糸杉と天への回帰
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
地中海の糸杉の丘の上に、神殿が聳える。糸杉の町の夜空に、星が降る。星降る夜、生命は天界へ回帰する。
糸杉は生命の象徴であり、星月夜は天界を意味する。『星月夜』は天界への回帰を意味しているのか。生死の境をさまよった藝術家たち。星空に生命界と宇宙の一体を観じる人。
ハープ協奏曲のように心がうっとりする書物を書くこと。病院の病床で、魂が癒される言葉を書くことが、天に徳を積む仕事である。*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』
ゴッホは、1888年、南仏に行ってから、生命の燃焼する絵画を描く。麦畑、花咲く野、カフェテラス、果樹園、跳ね橋。『夜のカフェテラス』、『ラ・クロの収穫』、『種まく人』、『アルルの跳ね橋』。『星月夜』、『糸杉と星のみえる道』に、鮮烈な心象風景が刻まれている。
美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
はちみつ色の夕暮れ、黄昏の丘、黄昏の森を歩き、迷宮図書館に行く。糸杉の丘、知の神殿。美しい魂は、光輝く天の仕事をなす。美しい女神が舞い下りる。美しい守護精霊が、あなたを救う。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
宮澤賢治は、ゴッホの糸杉に共感した。宮澤賢治『春と修羅』(mental sketch modified) 1924に、糸杉が現れる。糸杉と星月夜が二人を結びつける。
【天に徳を積む仕事】
天に徳を積む仕事がある。困っている人を助けること。人の心を豊かにすること。世に埋もれている才能を光ある場所に送り出すこと。これは小人にはできない、天人の仕事である。*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
【人間性】
いかに高級な藝術、料理を楽しんでも人間性は高くならない。人を高めるのは困っている人を助けること。人の心を癒すこと、豊かにすることである。
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
【夭折した藝術家】
「たとえ僕の人生が負け戦であっても、僕は最後まで戦いたいんだ。」ゴッホの言葉
「愛は永久不滅だ。姿形を変えることはあるが、本質は決して変わらない。」ゴッホ
「輝く天の仕事もするだろう」宮澤賢治『春と修羅第二集』
ゴッホ(1853-1890)は、27歳から37歳まで、数万点の絵を描いたが、1枚しか売れず。1888年アルルに住み、鮮烈な絵を描き始める。37歳で死ぬ。
宮澤賢治(1896—1933)は、28歳の時『春と修羅』『注文の多い料理店』を出す。37歳で病死する。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より「宮澤賢治 輝く天の仕事 美への旅」
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ゴッホ(Vincent van Gogh1853-1890)は、1877年、画家になることを決意した。1886年、ファン・ゴッホはパリに出る。印象派の輝く色彩と新印象派の点描技法に強い影響をうけ、第8回印象派展に参加した。1888年2月末、ファン・ゴッホはパリの喧騒を離れ、南仏アルルに移り住む。南仏の強い光のもと傑作の数々を生み出す。ゴッホの人生は、1988—90に凝縮されている。
★ゴッホ『夜のカフェテラス』1888、『ラ・クロの収穫』1888、『種まく人』1888、『アルルの跳ね橋』、『ひまわり』、『黄色い家』1888、『星月夜』1889、『糸杉と星のみえる道』1890、『夕暮れの風景』1890、『ドービニーの庭』1890、『オーヴェールの教会』『からすのいる麦畑』1890
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「夜空の星をみているといつも夢見心地になるが、それは地図の上で町や村を表す黒い点を見てあれこれと夢想することに近い。何故、夜空に輝く点にはフランス地図の上の点のように近づくことができないのか不思議に思う ~中略~ 僕らは死によって星へと到達するのだ」http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/gogh.html
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19世紀パリの画家
マネ、ドガ、パリのブルジョワ絵画、1860年、パリの銀行家
Manet, Degas,
印象派、1874年
モネ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、ピサロ、シスレー
Monet, Renoir, Cezanne, Degas, Camille Pissarro, Sisley
新印象主義、1886以後
ジョルジュ・スーラ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン
Georges Seurat, Cezanne,Gogh,Gauguin
ジョルジュ・スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後』1884
Georges Seurat, 1859-1891、31歳で死す。
Vincent Van Gogh.1853-1891 37歳で死す。
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ゴッホとゴーギャン展、東京都美術館、2016.10.8(土)~12.18(日)
ゴッホ展、孤高の画家の原風景、東京国立近代美術館、2005.3.23-5.22
印象派を超えて、点描の画家たち、国立新美術館、2013.104~12.23
没後120年「ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」国立新美術館 2010年10月1日~12月20日
「新印象派、光と色のドラマ」、東京都美術館、2015.1.24-3.29
★ゴッホ『星月夜』1889, Metropolitan Museum, New York
★ゴッホ『ラ・クロの収穫』1888
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