無料ブログはココログ

« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

2016年8月

2016年8月31日 (水)

大久保正雄 著作目録1 哲学編   

Botticellinascitaveneresimonettav_5
大久保正雄 著作目録1 哲学編                                                        
著書
  大久保正雄『ことばによる戦いの歴史としての哲學史 理性の微笑み』
  理想社1993、4月
論文
15 大久保正雄「美の奥義 プラトン哲学におけるエロス(愛)とタナトス(死)」
      詩誌『酒乱』第6号 2013
14 大久保正雄「プラトン哲学と空海の密教 ―書かれざる教説(agrapha dogmata)と詩のことば―」
   詩誌『酒乱』第5号2011
13 大久保正雄「ギリシア悲劇とプラトン哲学の迷宮 ―ことばの迷宮―」
   詩誌『酒乱』第4号2010
12 大久保正雄「プラトンと詩と哲学 ―詩的直観と哲学的直観―」
   詩誌『酒乱』第3号2009
11  大久保正雄「闇の中にただよう香り 新古今和歌集の美學 第二章」
   大久保正雄『魂の目』無盡藏刊、所収 1997、10月
10 大久保正雄「斷崖の美學 美をめぐる戦い 新古今和歌集の美學」
   「法科論集」第4号、1990
9 大久保正雄「ことばによる戦いの歴史としての哲學史 哲學史講義第一章」
  「法科論集」第5号、1991
8 大久保正雄「魂の卓越性の探究 想起説の構造と難問の仕組み (Plato“Meno”81a10-86c2)」
    「法科論集」第5号、1991
7 大久保正雄「知と愛 (Plato“Apologia Socratis”28d10-30c1)」
    「法科論集」第4号、1990
6 大久保正雄「彷徨えるソクラテス 根拠の探究(Plato“Phaedo”95e7-100b3)」
    「法科論集」第3号、1989
5 大久保正雄「存在をめぐる論争 (Plato“Sophista”245e6-251a7)」
    「法科論集」第2号、1988
4 大久保正雄「理念のかたち かたちとかたちを超えるもの」
  『理想』659号、理想社、1994、12月
3 大久保正雄「魂の美學 プラトンの対話編に於ける美の探究」
  『上智大学哲学論集』第22号、1993、6月
2 大久保正雄「イデアと魂 (Plato“Phaedo”100b3-107b9)」
  北海道大学哲学会『哲学』第20・21号 1985
1 大久保正雄「Phaedo 100b3-107b9 イデアと魂」
  上智大学大学院博士前期課程、1983、3月

世界遺産
大久保正雄「イタリア・ルネサンスの美と世界遺産」
「世界遺産アカデミーWHAMR 第11号」世界遺産アカデミー(WHA)2011.4月
★Botticelli, Naschita Venere, Birth of Venus,1485

2016年8月21日 (日)

ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち・・・黄金の残照に輝く迷宮都市

Giorgione_sleeping_venus1510大久保正雄「旅する哲学者 美への旅」第87回

灼熱の夏の午後、美術館に行く。ヴェネツィアでみたジョルジョーネ『嵐』、ドレスデンでみた『眠れるヴィーナス』を思い出す。ヴェネツィア、アカデミア美術館を散歩した日。水煙の煙る春の午後。
グランド・カナルを船で行き、サン・マルコ広場に上陸すると、サン・マルコ寺院は黄金の残照に輝く。夢の都。水の都、迷宮都市。ヴェネツィアの干潟(ラグーナ)の上に立つ、幻の都市。夢うつつの迷宮都市。
アカデミア美術館は、1817年に建設された。色彩のヴェネツィア派といわれるが、暗鬱な色調のキリスト教美術。私は、ヴェネツィア、フィレンツェ、ドレスデンで見た、ヴェネツィア派の絵画を思い出す。ゴルジョーネの謎の絵画。

美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
はちみつ色の夕暮れ、黄昏の丘、黄昏の森を歩き、迷宮図書館に行く。糸杉の丘、知の神殿。美しい魂は、光輝く天の仕事をなす。美しい女神が舞い下りる。美しい守護精霊が、あなたを救う。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』

■多産と豊饒の象徴、ヴィーナス
ヴェネツィア最大の巨匠ティツィアーノ ティツィアーノは、ヴィーナスとクピドをよく描いた。ヌードのヴィーナスは、結婚の記念画として愛好された。ヴィーナスは、多産と豊饒の象徴である。
ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』(1535)。ヴィーナスの膚は、煌めいている。線はない、色彩の魔術。宝石のように輝く皮膚の美。
■謎の画家ジョルジョーネGiorgione、謎の絵画
ティツィアーノの師は、ジョルジョーネである。若くして亡くなった。青春の画家である。
ジョルジョーネ『嵐 テンペスト』1505—8 嵐の瞬間を描いた傑作。西洋絵画史、最初の風景画。
ジョルジョーネ『テンペスト』(1505)は、乳呑児を抱く裸婦、立ち尽くす男、嵐、意味不明な、「謎の絵画」である。
ジョルジョーネ『眠れるヴィーナス』1510。自然描写のなかに眠れるヴィーナス。
ヴェネツィア派で、よく描かれる構成となる。
■ヴェネツィアの黄金時代、11世紀から15世紀。
ヴェネツィアは、地中海、エーゲ海に船で君臨した。栄光の海都市国家は、滅亡した。
これからが、これまでを決める。
変わることなく、とこしえに、揺るぎもしない。かくも試練に耐えた心のあるかぎり。地上は決して砂漠ではない。(バイロン)
★1500年、レオナルドは、ヴェネツィアを訪れ、ヴェネツィア人に、スフマートを教えた。
★ヴェネツィア・ルネサンスは、1440年ころから1580年まで。
ベッリーニから、ティツィアーノまで。
■19世紀、滅びの都ヴェネツィアを愛する。ロマン派詩人たち
ロマン派詩人は、イタリア、ヴェネツィアを愛した。ロマン主義は、1798年から1836年まで。1818年、詩人シェリーはメアリーを連れてイタリアに赴き、フィレンツェ、ピサ、ナポリ、ローマ各地を転々としながらプラトンの『饗宴』を翻訳し、詩『縛を解かれたプロメテウス』を作った。詩人バイロンは、ヴェネツィアをたびたび訪れた。
ロマン派詩人は、自由奔放と愛を追求して、地中海へ旅する。
■ワーズワース「ヴェニス共和国の滅亡」
(William Wordsworth,On the Extinstion of the Venetian Republic)
彼女はかつて華やかなる東洋を領有し、
そしてまた、西方の防衛なりき。
ああヴェニス、初めて生まれし自由の子、
その価値は誕生を辱めることなかりき。
かつて征服されたることなき輝かしき自由の市、
いかなる狡計も篭絡(ろうらく)することなく、いかなる暴力も犯すことなかりき。
ヴェニスがその配偶を娶らんときは、
永劫の海原を彼女は選ぶべかりき。
かかる栄光あせ、光栄ある称号消え失せ、
その力衰うるを見るも何をかせん。
それど追惜(ついせき)の貢物は
その永き歴史の終わる日にぞ払わるべき。
われらは人間、かつて華やかなりしものの影、
消えて跡なきに至るとき、悲しむべきものなり。
田部重治訳『ワーズワース詩集』岩波文庫1957

ヴェネツィアの3大巨匠 ティントレット、ヴェロネーゼ、パッサーノ
パオロ・ヴェロネーゼ『レヴィ家の饗宴』1573
カルパッチョ『リアルト橋の奇跡』1496
ジェンティーレ・ベッリーニ『サン・ロレンツォ橋での聖十字架の遺物の奇跡』
Miracolo della Croce caduta nel canale di San Lorenzo 1500年
■★謎の画家ジョルジョーネGiorgione,1477—1510
ジョルジョーネは、33歳頃亡くなった。作品はわずかに6点しか現存していない。
ジョルジョーネ『嵐 テンペスト』1505—8
ジョルジョーネ『眠れるヴィーナス』1510
■★ヴェネツィア最大の巨匠ティツィアーノTiziano,1488—1576
ティツィアーノは、80代まで画きつづけた。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『聖母被昇天』1516—1518、ティツィアーノ20代の作品、出世作。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『受胎告知』1559年-1564年頃サン・サルバドル教会
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『ウルビーノのヴィーナス』1535
■大久保正雄『地中海紀行』
ヴェネツィア 迷宮都市 美への旅
https://t.co/hjc7vHF74b
ヴェネツィアの黄昏
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-363a.html
■展示作品
パオロ・ヴェロネーゼ『レパントの海戦の寓意』
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『受胎告知』1563-65年頃
サン・サルヴァドール聖堂
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「聖母子」「アルベルティ―ニの聖母」1560年頃
■アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
ジョヴァンニ・ベッリーニからクリヴェッリ、カルパッチョ、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼまで
2016年7月13日(水)~10月10日(月・祝)国立新美術館
http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/venice2016/
2016年10月22日(土)~2017年1月15日(日)国立国際美術館
★Giorgione, Venus1510
★Giorgione, Tempesta1505—8
大久保正雄2016年8月21日

2016年8月13日 (土)

【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』

20160529022016052901【質疑応答】島薗進×大久保正雄『死生学 人の心の痛み』
島薗進『死生学 日本人の死生観を考える』上智大学5月29日
https://t.co/6w4A3WzvSe
私の体験を踏まえて、島薗先生に、死生学について質問しました。
ある時、突然、病気が発症し救急車で運ばれ、生死を彷徨い三か月入院しました。虎の門病院分院で、退院する最後の日、ナースが部屋にやってきて「あなたの退院は私が担当します。あなたは、人の苦しみがわかる人だから、苦しかったでしょう」と言われ、涙があふれた。病院で過ごした日々を思い出した。生老病死、運命、幽明界につて病院で深く考えた。星空は金剛界曼荼羅、イデア界のように、私にみえた。
島薗先生への質問と回答の要旨は下記の通りです。
―――――
1、【他界からの訪問者】
大久保正雄「他界からの訪問者」の物語、「他界憧憬」について。(宮澤賢治『風の又三郎』。
「純粋な魂が、天界からやってきて、この世で苦難を経験し、天界へ帰って行く」という世界観がある。様々な文学、哲学にある。と考えられる。このような考えを現代人は、共感できない。これが現代人の魂の衰退の一つ現れだと思います。
例えば、サン・テグ・ジュペリ『星の王子さま』、プラトン、ウィリアム・ブレイク、ダンテ、空海。純粋な魂が、天界からやってきて、この世で苦難を経験し、天界へ帰って行く。藝術家、思想家は「生死の彼方から見た生の視点」がある。倫理的意識がある。異界からやってきて、異界に帰って行く。魂の物語。天界の魂が、何かの原因で、地上に降りてきて、地上で経験し、地上の苦難を経て、天界に帰って行く。*プラトン生と死の対話編『饗宴』『パイドン』『パイドロス』。空海『秘蔵宝鑰』生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し。
島薗進「MortalなものとImmortalなものがある。近代人はImmortalなものを感じることができない。これに対して、ファンタジーが有効な方法である。宮澤賢治はアンデルセンから影響を受けた。」

2、【輪廻転生】
大久保正雄「世界の宗教の中で、輪廻転生の思想をもつ人々がいる。他方もたない人々がいる。宗教学からみると、世界観はどのように違うのか。どのような原因、背景が考えられるますか。
輪廻転生の思想は、インド人の死生観、ギリシア人の死生観、古代エジプト人の死生観にある。仏教は、無我説であるが、同時に、輪廻転生説に立つ。これは仏教の根本的問題であるといわれる。空海は、即身成仏、速疾成仏であり、目標が高く困難である。(末木文美士『仏典をよむ』第九章210-212)「永遠の生」の思想は、死の思想である。(末木文美士『仏典をよむ』第九章214)。現代人は、仏教の輪廻転生説を考えることができない。
島薗進「沖縄人の死生観では、海の彼方に死者の世界がある。死後、融けた生命に帰ってくる。生命のプールがある。回帰的宇宙観がある。」

3、【人は、どのようにして、他の人の痛みを感じることができるようになるか】
大久保正雄「人は、どのようにして、他の人の痛みを感じることができるようになるか。」
日本人は、人に痛みに共感することができない、といわれる。日本人は、英国人、中国人よりはるかに下位。OECDのある調査で世界最下位。「自力で生きていけない人たちを助けるべきだとは思わない人、日本38%、米28%、英8%。」http://linkis.com/bit.ly/TiIW
死をむかえる人の心の痛みに応えることができるのか。「他人の痛みは、分かるのか。他人の痛みは、分からない」 (ウィトゲンシュタイン『哲学的探究』(Philosophische Untersuchungen)「私的言語論」「痛み」)人の心の痛みを感じる心は、慈悲心が必要。非常に難しい。
島薗進「人の痛みを感じる心を教えるのは難しい。人の痛みを感じることができるためには、教養が必要です。教養よりも、子供の時の経験が大切です。日本人は臓器移植についても否定的な人が多い。人の苦しみを共感できない人が多い。背後には、科学の過信への疑問がある。」

4、【ギリシア人の死生観】
大久保正雄「ギリシア人の死生観は「人間にとっては、この世に生まれてこないことが幸せであり、生まれてきたら早く死ぬことが幸せである。」。「宮澤賢治『よだかの星』に似ている。これは、現代人の考えと違うと思われる。宗教学者として、どのように考えますか。」「ギリシア悲劇、ソフォクレス『コロノスのオイディプース』(1224-1227)、ソフォクレスに先立つ前6世紀のエレゲイア詩人テオグニス『エレゲイア詩集』」
島薗進「この世に生まれ生きることは苦だという死生観がある。苦しい人生を生きるより、生まれないほうがよい、という考えは、日本人の死生観にある。」

5、【幸せとは何か】
大久保正雄「宗教学者が考える「幸せとは何か」。例えば「幸せとは何か。」ホセ・ムヒカの考えは、
幸せとは生きることに喜びを見出すこと。情熱を傾ける何かが必要。歩きつづけることが幸せ。目標に向かって戦う者は幸せ。希望があるから。貧しい人とは少ししか持っていない人ではない、もっともっといくらあっても満足しない人である。『知足』が大切。若い人でも、心が老いた人がいる。
我々は発展するために地球にやってきたのではありません。幸せになるために地球にやってきたのです。2016年4月8日。ホセ・ムヒカ「4つの教訓」 1. 消費主義に支配されるな 2. 歩き続けよ  3. 同じ志を持つ仲間を見つけて闘争せよ 4. 自分の利己主義を抑えよ 
http://news.livedoor.com/article/detail/11393035/
島薗進「私は、ホセ・ムヒカの考えは好きです。しかし、歩くのを止めて、立ち止まってもよいのでは。」

6、【仏教の根本前提】
大久保正雄 「『仏教の根本前提』は、何であると考えられますか。プラトン哲学の根本前提は、『魂の不死不滅、輪廻転生、イデアの存在、想起説』。この4つの思想である。と考えらえる。プラトン『パイドロス』魂のミュートスは、4つの前提の上に成り立つ。魂は、一組の馬とその手綱を取る馭者からなり、翼をもち宇宙をかけめぐる。魂が神の行進について行けなくなると、地上に落ち肉体のうちに誕生する。何かを認識することは、かつて魂が見たイデアを思い出す(想起する)ことである。
島薗進「仏教の根本前提のなかで重要なものは縁起説だと思う。原因に縁って結果が起きる。」*
*注 縁起説「原因に縁って結果が起きる」。
*注 十二縁起。無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死→(無明に繋がる)。
仏陀は、人生を苦とみた。苦の原因は、十二縁起。
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-b779.html

7、【空海のことば『答叡山澄法師求理趣釈経書』】
大久保正雄 「古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。」空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』。(真理の道を究めるために道を探求したが、現代の人は、地位名誉と利益のために道を探求する。) 空海の言葉は、現代の学問の世界にも当てはまる。地位と名誉と利益のために行動する御用学者が極めて多い、例えば原子力安全委員長、斑目春樹氏。宗教学者として、どう思われますか。
*古の人は道の為に道を求め、今の人は名利の為に求む。名の為に求むるは、道を求むる志にあらず。
空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』(叡山の澄法師、理趣釈経を求めたるに答うるの書)
島薗進「その通りです。日本人は、狭い道、専門家の道を考える、茶道、書道など。中国の道はより根源的。本質的な人間の道がある。」

8、【比叡山焼き討ち】
大久保正雄 「島薗先生は、比叡山の高僧と交流されていますが、【織田信長、比叡山延暦寺、焼き討ち(元亀二、1571年 】根本中堂焼き討ちはなかった、と戦国史研究者が分析している。比叡山延暦寺は、現在どのような見解ですか。最澄空海の時代から7百年後、比叡山は利権団体化した。信長「天下布武」は臨済宗妙心寺派の僧沢彦宗恩の教示による。公家寺家の利権を攻撃することが目的である。浅井朝倉に与する比叡山を明智光秀が攻撃。(*比叡山焼き討ちに関する考古学的調査、滋賀県による)
島薗進 「織田信長は、一向宗(浄土真宗)を徹底的に攻撃した。世俗権力と合体して大衆を動かしたからである。比叡山焼き討ちは、大規模ではなかったと思う」

« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

最近のトラックバック

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30