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2016年4月18日 (月)

カラバッジョ展、国立西洋美術館・・・光と闇の藝術

Caravaggio_20160301Caravaggio_2016花の蕾がふくらみ、羽化する春、桜の森を歩いて、美術館に行く。秘書は黒いドレスを着てやってきた。敵の首を切る美女、自己陶酔する美青年、エロティックで暴力的なバロック趣味の様式。闇と光の藝術をみて、彼女は興奮していた。
初夏、灼熱のローマを旅した日々の思い出。緑深い森の中の館、ローマのバルベリーニ宮殿(Palazzo Barberini)でみたカラヴァッジョ「ホロフェルネスの首を切るユディト」(1598)を思い出す。美しき壮絶。イタリアは、詩と藝術、恋愛とエロスの王国である。
敵将の首を切る美女、恍惚の聖者、自己の美貌に溺れる美青年、いかさま師、朽ち果てる果実、犯罪者として殺される聖者と首を切る役人。この世の流血の惨劇。
『エマオの晩餐』(1606)の深い闇の中の光、『果物籠をもつ少年』(1593-94)の朽ち果てていく果実。殺人、首切、いかさま、流血、涙、恍惚、陶酔。闇の中の美女。なんでもありのこの世。闇の中の光。カラヴァッジョは、殺人事件(1606年5月)後、コロンナ家に潜伏して『エマオの晩餐』を描き逃走資金を作った。
神から贈られた卓越した才能をもちながら、人を殺した理由は何か。カラヴァッジョの殺意の原因は何か。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』より
■カラヴァッジョの破滅的生涯
カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio1571-1610)は、北イタリアで生まれ、6歳の時父が死に、13歳の時画家の修業を開始し、20代でローマに行く。作品が人気となり支援者を得る。25歳の時、デル・モンテ枢機卿が『女占師』(1496)を買い上げ、枢機卿の館に住む許可を与えられ、上流階級に紹介される。
35歳の時、人を殺害し死刑判決を受ける。絵を描いて逃走資金を作り、ナポリへ逃亡。支援者の援助を受けながら、マルタ島、シチリア島へ逃亡をつづける。恩赦を得るためローマへ戻る途中38歳で病死した。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
■バロックの巨匠たち
ベラスケスの宮廷画、ルーベンス、レンブラントの闇、ラ・トゥールの蝋燭、フェルメールの静謐な空間。
暗闇の中に差し込む一条の光。蝋燭の光に照らされた顔。16世紀から17世紀、光と闇を描いたバロックの画家たち。徹底した写実主義で劇的な光の効果を描いたカラヴァッジオ、暗闇の中にともる光で宗教画を描いたラ・トゥール、深い闇と静謐な光を描いたレンブラント。カラヴァッジョは17世紀の画家に深い影響を与えた。
■ルネサンスの血とバロックの闇
メディチ家は、卓越した美的趣味、知性をもち理想主義(Idealism)を探求した。フィレンツェは対教皇庁戦争で包囲される(1474年-1480年)。ジュリアーノ・デ・メディチは25歳で暗殺され、ロレンツォは1492年43歳で死に、ルネサンスの詩人ポリツィアーノは40歳で毒殺され、思想家ピコ・デラ・ミランドラは31歳で毒殺され、フィチーノは1499年死んだ。メディチ家は、旧権力と戦い破れた。
カラヴァッジョは、ルネサンス藝術が追求しない残酷な現実を直視し、現実主義(Realism)を探求した。カラヴァッジョの深い闇は、ルネサンスの過酷な現実を100年の時をへて形象化した。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
■緑陰深い森の中の館
緑陰深い森の中の館でみた絵画を思い出す。カラヴァッジェスキとカラヴァッジョの敵たち。カラヴァッジオ『愛は全てを征服する』(1601)は、敵対するジョヴァンニ・バリオーネ『肉体の愛と精神の愛』*によって批判され、カラヴァッジョ『ホロフェルネスの首を切るユディト』(1598)は、アルテミジア・ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を切るユディト』*に深い影響を与える。
Giovannni Baglione,Amor sacro e Amor profane(1602–1603)
Artemisia Gentileschi, Giuditta che decapita Oloferne(1614–20)

カラヴァッジョ展、国立西洋美術館
2016年3月1日(火)~2016年6月12日(日)
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

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権威を装った詐欺師が世に溢れている。*カラバッジョ「いかさま師」1595、ラ・トゥール「いかさま師」1635。

権威を装った詐欺師が世に溢れている。*カラバッジョ「いかさま師」(1595)、ラ・トゥール「いかさま師」1(635)。*ボス「いかさま師」(1505-15)から「価値観の逆転、権威の失墜」が、イメージ化された。

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